東京湾から外洋への粒子状物質輸送のモニタリング(シンポジウム:沿岸海域の基礎生産研究の新しい展開)
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概要
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沿岸域から外洋への粒子状物質の輸送メカニズムは,研究例が少ないことに加えて粒子の挙動が複雑なため,不明の点が多い.そこで,本研究では,東京湾湾口部の底層で湾内から流出する粒子の量と流出経路を調べるため,1994年11月から2002年2月までセジメントトラップ実験を行った.また,湾口の沈降粒子と比較するため,湾内の表層懸濁物と表面堆積物を2000年9月から2001年10月まで毎月採取した.これらの観測の結果,湾口底層の沈降粒子は湾内の堆積物を主な起源とするが,その炭素・窒素含有率及び同位体比に見られた顕著な季節変動は湾内表層懸濁物からの寄与があることも示唆していた.湾内の粒子は,湾内で沈降したものが潮流などによって底層で堆積物と混ざり均一化され1,2ヶ月掛けて湾口底層へ押し出されたと思われる.このほか,イベント的に黒潮が接近したとき,湾内中層に黒潮系沿岸水が貫入することで,粒子が湾内から底層と表層を経由して湾口へ輸送される過程や,夏季,降水により湾内に淡水が流入した時,表層起源の粒子が湾口に押し出され沈降する過程が存在することも明らかとなった.
- 日本海洋学会の論文
- 2007-08-31
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