衛星データを用いた富山湾における富栄養化のモニタリング(シンポジウム:沿岸海域の基礎生産研究の新しい展開)
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概要
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国連環境計画の主導の下,北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)が採択されている.NOWPAPの枠組みのもと,沿岸環境評価・特殊モニタリング地域活動センター(CEARAC)として指定されている(財)環日本海環境協力センター(NPEC)では,環境省の支援のもと,富山湾をモデル海域として,富栄養化のモニタリングを目的とし,沿岸環境モニタリング手法として衛星リモートセンシングの有効性と限界を検証するケーススタディーを1998年から2003年において実施した.富山湾湾奥沿岸部では1998年から2003年にかけて夏季の現場クロロフィルa濃度及びCODのピークが減少する傾向であったのに対し,衛星クロロフィルa濃度の経年変化でも,夏季については1998年が高くその後は低い傾向が見られた.さらに日変化では現場クロロフィルa濃度も衛星クロロフィルa濃度も短期的な変動が激しいことが確認された.これらのことから,衛星リモートセンシングが月一回という現場データの観測頻度を補完可能という意味で,富山湾沿岸の環境モニタリングにおいて有用であることが示唆された.一方,同日に取得されたクロロフィルa濃度の比較において,衛星クロロフィルa濃度は,現場データと有意な相関があるものの,現場クロロフィルa濃度と比べて相対的に高くなる傾向がみられ,衛星データの精度のより一層の向上が必要であると考えられた.
- 日本海洋学会の論文
- 2007-08-31
著者
-
石坂 丞二
長崎大学水産学部
-
石坂 丞一
Nagasaki Univ. Nagasaki Jpn
-
寺内 元基
環日本海環境協力センター
-
寺内 元基
(財)環日本海環境協力センター
-
Ishizaka J
Nagasaki Univ. Nagasaki Jpn
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