沿岸域での海色リモートセンシングの現状と将来(シンポジウム:沿岸海域の衛星海洋学)
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概要
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沿岸域の海色リモートセンシングには,陸域用の可視域センサーが利用されてきたが,これらのセンサーは高解像であるが観測頻度が少なく,また感度が低く,波長幅が広いために水中の物質濃度を普遍的に求めることは困難である.一方,1978年に打ち上げられた地球規模での植物プランクトン色素濃度を測定されるために開発された海色センサー,沿岸水色走査計(CZCS)は成功をおさめ,その後日本の海色水温走査計(OCTS)が1996年11月から1997年6月まで稼動し,現在はSeaWiFSが稼動している.これらの海色センサーは,解像度こそ1kmと陸域センサーと比較して粗いが3日に一度の観測が可能である.またきちんとした大気補正を行うことができるために,外洋域でのクロロフィルa濃度の推定法がほぼ確立された.ここではケーススタディーとして,東シナ海の長江プルーム,日本海の季節的なブルームの経年変化,富山湾におけるクロロフィルa分布変動の3つを上げた.これらの研究で,海色データが沿岸域の河川水を追跡する上でも有効であること,すでにある3年間のデータで経年変化がわかり始めていること,1kmの解像度と数日間隔のデータで内湾域での流動パターンもある程度わかることなどが指摘できる.現在のところ,沿岸域でのクロロフィルa濃度の推定精度はまだよくない.これは沿岸域での光学特性にクロロフィルa以外に懸濁物質や有色溶存有機物が重要であるからであり,これらの物質の影響を考慮したアルゴリズムが近々実用化されるはずである.
- 日本海洋学会の論文
- 2001-08-23
著者
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