IgA腎症における接着因子とサイトカインの糸球体発現
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概要
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サイトカインは生体内で複雑なネットワークを形成し,炎症の進展や組織障害,細胞外基質の産生などに重要な役割を演じているとされ,慢性糸球体腎炎でも病因,病態への関与が推測されている.今回,IgA腎症患者の腎生検組織で接着因子(intercellular adhesion molecule-1: ICAM-1, vascular cell adhesion molecule-1: VCAM-1, endothelial-leukocyte adhesion molecule-1: ELAM-1)および炎症性サイトカイン(interleukin-1β: IL-1β, tumor necrosis factor-α: TNF-α, interferon-γ: INF-γ,interleukin-5: IL-5)の糸球体内発現の検討を行った.9人のIgA腎症群の腎生検標本と5人の手術時摘出標本健常部をコントロールとして,各接着因子,サイトカインに対するモノクローナル抗体を用い,染色性の程度を定量した.またmRNAは凍結組織切片より抽出しreverse-transcription PCR (RT-PCR)法を用いて検出した. 接着因子ではICAM-1がIgA腎症の糸球体内での染色性の増加が認められた・炎症性サイトカインではTNF-αが強く染色され,mRNAの発現の亢進を伴い,その染色性は臨床所見上蛋白尿の程度と相関がみられた.IL-5の糸球体発現が染色性,mRNAともに亢進した症例が認められ,mRNAはメサンギウム細胞数と有意に相関していた.IL-5はB細胞の増殖を促進し,IgA産生の誘導作用が指摘されており,本症の特徴的所見であるIgAのメサンギウム領域への沈着のメカニズムに示唆を与えうるものと考えられた.IgA腎症の糸球体における接着因子,炎症性サイトカインの発現を免疫組織染色およびRT-PCR 法により確認した.各種サイトカインが本症の発症,進展の各時期に関与する可能性が示唆された.
- 東京女子医科大学の論文
- 1996-05-25
著者
-
土谷 健
東京女子医科大学第4内科
-
湯村 和子
東京女子医科大学 第四内科
-
湯村 和子
東京女子医科大学
-
土谷 健
東京女子医科大学第四内科
-
浅野 美和子
東京女子医科大学第四内科学
-
大図 弘之
東京女子医科大学第四内科学
-
浅野 美和子
東京女子医科大学
-
土谷 健
東京女子医科大学病院第4内科
-
土谷 健
東京女子医科大学医学部内科学(第四)
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