13. 最近の畜肉の凍結、解凍(セミナー「食品における低温の利用」)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
凍結方法,凍結時期及び解凍方法の相違が牛部分肉の理化学的特性並びに筋肉の微細構造に及ぼす影響を調べ,牛肉の解凍硬直のメカニズムを追究した.そのため,肉用牛15頭の屠殺直後及び屠殺後4日冷蔵した枝肉から胸最長筋を採取し,-30℃による空気凍結(緩慢凍結)及びドライアイス・エタノール液による-78℃のブライン凍結(急速凍結)を行い,一定条件で解凍した筋肉の理化学的特性値及び微細構造を調べ比較検討し,次の結果を得た.(1)牛肉の解凍硬直の程度は筋肉の凍結方法,凍結時期及び解凍方法の影響を受け,解凍を20℃で急速に行うと,屠殺直後に急速凍結した区の方が緩慢凍結した区より大きく,元の長さの40%近くまで収縮する強烈なものであった.しかし,屠殺4日後に凍結した牛肉は両凍結区とも全く硬直しなかった.(2)凍結方法及び凍結時期の異なる凍結筋肉中の核酸関連物質の定量結果から,屠殺直後の筋肉のATP量は急速凍結区の方が緩慢凍結区より多く,解凍硬直が急速凍結区で激しくドリップロスが大きいことと符号していた.しかし,屠殺4日後では筋肉中のATP量はほとんど残存していなかった.(3)筋肉のドリップロスは,解凍硬直の激しく起こる区ほど多く,屠殺4日後に急速凍結する20℃で解凍しても少ないことがわかった.(4)屠殺直後の筋肉を急速に凍結し,20℃で急速に解凍した際にみられる解凍硬直は,走査型電顕像から筋線維のところどころにくびれが入る特異な形状で収縮する異常なものであったが,0℃に解凍した筋肉を0℃の氷温に放置する限り筋肉中にATPが存在しても収縮しないことがわかった.
- 低温生物工学会の論文
- 1991-10-20
著者
関連論文
- 梅山豚の成長にともなう枝肉構成の変化
- 13. 最近の畜肉の凍結、解凍(セミナー「食品における低温の利用」)
- 豚肉のPSE判定と理化学的性状との関係
- 食味のよいロ-スハムを製造する技術-2-
- 食味のよいロ-スハムを製造する技術-1-
- 塩漬液の食塩濃度と塩漬日数の差異がロ-スハムの品質におよぼす影響
- 味覚センサによる酒質評価
- 牛筋肉のテンシプレッサーによる硬さの測定
- 黒毛和種,褐毛和種およびホルスタイン種経産牛の枝肉構成と筋肉分布について
- 屠殺直後および屠殺24時間後の加温処理が豚筋肉の品質特性におよぼす影響
- 鶏肉におけるpH,K値,保水性および遊離アミノ酸含量の死後変化
- 豚挽肉の死後変化におよぼす貯蔵温度の影響