聴覚障害児の書記表現力の指導に関する調査
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概要
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聴覚障害児の書記表現力の指導の実態に関して現状を把握するため、全国の聾学校小学部・中学部を担当する教員127名を対象にアンケート調査を行った。アンケートは93名から回答があり、そのうち92名を有効回答として分析の対象とした。その結果、以下の5点が明らかになった。1)書記表現力の指導は、教科指導の一環として行われる「国語科」の時間内だけでなく、「自立活動」や「放課後・昼休み」など教科外でも指導の機会が頻繁に設けられていた。2)取り扱う教材に関しても、「日記」や「感想文」など児童生徒の書記表現力の基礎を形成するために効果的と考えられる教材が選択されていた。3)指導内容に関しては、評語による指導が中心となっており、対象者全体として児童生徒が書記表現力について抱える困難に即した指導が行われていた。4)指導に際しても、単に意欲の喚起にかかわる動機づけの側面だけでなく、語彙・文レベルの指導から文章レベルでの指導まで幅広く行われていた。5)評価方法としては、指導と合わせるかたちで評語による評価がおもに行われていた。以上の点から、聾学校においては、児童生徒の書記表現力の向上に向けた実質的な指導が展開されていることが示唆された。
- 2007-09-30
著者
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田中 耕司
Graduate School Of Comprehensive Human Sciences University Of Tsukuba
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斎藤 佐和
Department Of Speech Language And Hearing Therapy Faculty Of Health Sciences Mejiro University
-
田中 耕司
筑波大学人間総合科学研究科
-
斎藤 佐和
目白大学保健医療学部
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