長期入院中のアルコール依存症に対する園芸療法の心理効果 : 第一報

概要

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アルコール依存症者には,家族関係や社会的信頼を崩壊させ入退院を繰り返し,その結果として長期入院を余儀なくされ漫然と時が過ぎ,生き甲斐を失った生活を送っていることも稀ではない。そこで今回われわれはICD-10でアルコール依存症候群と診断された長期入院中の10名に4ヶ月間の園芸療法を試み,園芸療法が日常生活の心理状態にどのような影響を及ぼすか検討した。心理的変化の評価として,園芸療法開始1i町と全課程終了後に12 items General Health Questionnaire(GHQ12)を施行した。統計学的検定は一・元配鍛分散分析を行った。その結果,GHQ12は,12項目全てを統合すると園芸療法前と比較し終了後には有意な改善を示した。また,項目別では,「不眠」「生きがい」「決断力」「日常生活を楽しむ」「幸せと感じる」の5項目で有意な改善がみられた。これらの結果から自然に親しみ,作物の実る喜びなど自然と一体感を体験する園芸療法は,長期入院しているアルコール依存症者のQOLを高める上で,重要な役割を持つと考えられた。
久留米大学の論文