看護職者に生じる悲嘆反応と対処行動

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本研究では,臨床看護職として職務に携わるなかで遭遇した,患者との死別体験による悲嘆反応とその対処行動の特徴を明らかにするために,大学病院で働く看護師415名を対象とした質問紙法による調査を行った。質問紙は,「悲嘆反応尺度(Grief Response Scale;GRS)」,「対処行動尺度(Scale for Coping with Bereavement;SCB)」(いずれも富田他,2000b),日本語版SDS(1974)及び「バーンアウト(燃えつき症候群)尺度」(久保・田尾,1992,1994)などから32項目を参考にした。その結果,(1)実務経験の浅い若年の看護師のほうが,強い悲嘆反応を示しやすく,それに対処するために気晴らしをしたり,周囲の人に援助を求めたりするなどの対処行動をとる傾向があった,(2)死別経験の少ない看護師のほうが,悲嘆を解決できずに罪悪感や呆然感を抱きやすく,周囲の人に援助を求める傾向がみられた,(3)医療スタッフ,患者家族,患者本人の三者ともに死を予期していた場合は,患者本人のみが死を予期していなかった場合に比べ,看護師は患者との死別を受け入れやすい傾向がみられた,(4)緩和ケアに携わる看護師は,他科の看護師と比べ患者との死別を受容・克服している傾向が高く,さらにはそれによって人間的・人格的な成長を経験していることが示唆された,(5)救命救急に携わる看護師は,悲嘆の解決や死別の受容がなされにくく,死別体験後の対処行動についても,他科の看護師と比べてあまり行わない傾向があるため,彼らの受ける心理的負担は非常に大きく,消耗性のストレスからバーンアウトを生じやすいことが示唆された。

看護職者に生じる悲嘆反応と対処行動

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