テフロン製プレジェット付き水平マットレス縫合を用いた気管支断端閉鎖法の検討

概要

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以前行ったSweet氏法で閉鎖した症例の断端瘻の内視鏡所見の検討では,Sweet氏法では断端の両端に軟骨による張力が働き,瘻がこの部位に多発していた.また,縫合糸によるcuttingが原因と思われる断端瘻もみられた.この経験から,1988年7月より,断端の両端に2組のテフロン製プレジェットをポリブチレート加工ポリエステル糸による水平マットレス縫合でおき,さらに数条の結節縫合で断端を閉鎖した.89年9月まで192例の肺切除を行ったが,炎症性疾患,Neoadjuvant therapy後の肺切除例も含めて気管支瘻は1例も発生しなかった.本法は,縫合糸によるcuttingを防止し,長期にわたる減張作用が得られ,Neoadjuvant症例など創傷治癒の障害のある症例でも安全に肺切除が行い得た.一方,1982年から88年6月までSweet氏法で断端を閉鎖した880例では,39例4.4%に気管支瘻が発生した.この880例では,吸収糸で4.8%に,非吸収糸で4.9%に気管支瘻が発生した.また,Sweet氏法では年代によらず,ほぼ4%台の気管支瘻発生が観察され,ある一定の頻度でSweet氏法では対応できない症例が存在するものと考えられた.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1990-08-15