肺癌集検喀痰細胞診によって発見された肺癌以外の悪性腫瘍症例の検討

概要

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早期肺癌発見を目的として集検時に施行された喀痰細胞診によって発見され,肺以外の悪性腫瘍と確定した症例の臨床像を検討した。その結果,肺以外の悪性腫瘍は咽喉頭原発の悪性リンパ腫の1例を除き,すべて扁平上皮癌で,原発部位は喉頭26例(声門上10,声門14,声門下1,不明1),口腔底1例,上顎洞1例,上咽頭1例,中咽頭1例,下咽頭1例,鼻腔1例であった。これは,同時期に喀痰細胞診によって発見された癌症例の14.1%を占めていた。これらの癌のほとんどはT_1症例であった。病変の部位同定に複数回の検査を要した症例は喉頭以外の部位にみられた癌,および声門上喉頭癌にみられた。また,当初病変未確定であっても経過観察により癌が確定した症例も存在した。一方,精査,経過観察拒否例のなかの2症例で進行癌が後に確定した。以上より,喀痰細胞診により要精査とされた症例では,耳鼻科領域の癌の可能性も考慮し,精査を進めることが肝要と考えられた。また,病変が未確定であっても,厳重な経過観察の必要性が示唆された。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1992-05-25