胸部 X 線写真無所見肺癌 128 病変の気管支鏡による診断 : 気管支鏡所見および病変の大きさを中心に

概要

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胸部X線写真無所見肺癌例116例, 128病変に関して, 病変の性状・部位を検討し, さらに肺切除98例に関しては, 気管支鏡所見と, 腫瘍の気管支壁の浸潤の深さおよび気管支長軸方向の広がりの関係を分析した。腫瘍の気管支鏡所見を, 内視鏡的に癌病変を発見するための目安として, 病変の隆起の状態および所見のとらえやすさから, 大所見・小所見・無所見と分けると, 大所見を呈したものは65病変(51%)にすぎず, 34病変(27%)は小所見を呈した。残る29病変(23%)は, 気管支鏡に熟達した医師が観察しても初回の観察では無所見と判断され, うち17病変は可視範囲内に, 12病変は可視範囲外に局在していた。大所見例・小所見例・可視範囲内無所見例・可視範囲外無所見例の気管支壁の浸潤の深さ(平均±標準誤差)は, それぞれ3.07±0.40mm, 1.62±0.47mm, 0.93±0.36mm, 0.78±0.21mm, 気管支長軸方向の広がりの最大値は, それぞれ19.6±1.5mm, 9.9±1.4mm, 5.5±1.0mm, 8.6±2.1mmであった。非早期例の占める割合は, 大所見例で52例中9例(17%), 小所見例で27例中3例(11%), 可視範囲内無所見例で8例中0例(0%)であった。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1990-03-25