急速に増大した巨大な転移性胸郭内腫瘍に対する外科治療

概要

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急速に増大した巨大な転移性胸郭内腫瘍2例に対して手術を行ない救命し得た.第1例(27歳,女)は,右下肢の血管平滑筋肉腫の胸膜転移で成人頭大の腫瘍が左胸腔内を占拠し,大動脈弓及び心膜に浸潤し,横隔膜にも浸潤及び播種巣がみられた.腫瘍を可及的に摘出切除した.術後約3ケ月間は特に自覚症状もなく自宅で日常生活を送ったが7ケ月で再発により死亡した,第2例(27歳,男)は,右下肢骨肉腫の左肺転移で,大動脈弓,上行大動脈,後縦隔に浸潤しており,左肺剔除を行なった.術後Vincristine, Methotrexateによる化学療法を施行した.術後7ケ月の現在健在である.急激に増大した巨大な転移性の胸郭内腫瘍に対しても,救命を目的とした手術適応のみならず,いわゆるquality of lifeの観点からも手術適応となりうると考える.また,手術に際しては,時間及び全身状態の許す限り,術前に腫瘍の胸郭内重要臓器への浸潤の程度を充分に把握することが肝要である.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1989-06-15