LPS誘発の前炎症反応は迷走神経求心性神経終末部のセロトニンリセプターを介して起こる
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概要
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リポポリサッカライド(LSP)誘発の前炎症反応が起こる機序を明らかにする目的でセロトニン3型リセプターアンタゴニストであるラモセトロンを前投与した雄ウィスター系ラットに100μg/kgのLPSを腹腔内に投与し摂食量,行動量及び体温を観察した.その結果,1)迷走神経肝・門脈枝と胃枝を併せて切除した動物ではLPS誘発の摂食抑制が有意に軽減し,2)ラモセトロン腹腔内投与(3〜10μg/kg)は用量依存性にLPS誘発の摂食抑制を軽減した.3)LPSはウレタン・クロラロースで麻酔したラットの直腸温を約1.3±0.25℃上昇させ,4)ラモセトロンはこのLPS誘発の体温上昇を有意に抑制した.5)LPSはテレメーターを用いて観察した無麻酔・無拘束ラットの夜間の深部体温を1.5± 0.25℃以上上昇させ,6) 迷走神経肝・門脈枝と胃枝を併せて切除した動物とラモセトロンを腹腔内に投与した動物の深部温はLPSによる深部温の上昇が観察されなかった.これらの結果はLPS誘発の前炎症反応は迷走神経肝・門脈枝と胃枝が支配する内臓領域で発生し,迷走神経求心性神経終末部にある5HT3型リセプターを介して起こることを示唆している.
- 2007-12-25
著者
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松永 知恵
長崎大学医学部第一生理学教室大学院生
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土屋 勝彦
長崎大学環境科学部自然環境保全
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土屋 勝彦
長崎大学熱帯医学研究所環境医学部門
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土屋 勝彦
長崎大学環境科学部環境保全講
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中鋪 卓
平成15年度リサーチセミナー
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上野 瑞帆
平成16年度リサーチセミナー(3年次)
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土屋 勝彦
長崎大学環境科学部・自然環境保全
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