ベトナム北部で採集された陸産貝類("前鰓類") : Part II:Cuc Phuong National Park, Ninh Binh Province
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概要
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ベトナムの首都ハノイから南西へ約80kmに位置し,1962年に国内最初の国立公園として指定されたCuc Phuong National Parkは,ベトナム北部では数少ない陸上カルスト生態系を維持した低地原生林帯であることから,世界的にも重要な保全地域として知られている。公園面積は約222km^2で,最標高のSilver Cloudy Top (676m)をはじめとする石灰岩の低山が北西から東南に連なり,山麓には常緑広葉樹で構成された熱帯雨林が標高200m前後に広がる。小さいながらも園内には博物館や資料館を備え,常に数人のレンジャーが見回るなど生物の保護・管理についても厳重で,ベトナムにおける公園管理の模範例となっている。ベトナム北部のこの地域にのみ分布する霊長類の絶滅危惧種シロジリクロリーフモンキーTrachypithecus delacouriや固有種を含む鳥類の宝庫としてもCuc Phuong National Parkは著名で,多くのナチュラリストや観光客で後を絶たない(Momberg & Rambaran, 2004)。しかし,公園設立後はこれまで陸貝相に関する本格的な調査がこの地で行われた記録がなく,陸貝にとって最良の環境が整っているにもかかわらず,およその種数さえも未知のままである。今回,著者の矢後,Hao, Hungの3名は,2005年5月3日から5日までの三日間,この自然公園内での採集許可を得て,昆虫の調査を行なった。今回の生物調査では陸産貝類の採集にあまり時間をかけることができず,広大な公園内のごく一部で採集したに過ぎないが,以下にそのリストを記し,注目すべき種については貝殻の特徴を記述する。
- 2007-08-31
著者
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山崎 一憲
東京大学大学院理学系研究科
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矢後 勝也
東京大学大学院理学系研究科
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Hung Ha
Department of Entomology, Faculty of Agronomy, Hanoi Agricultural University
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上島 励
東京大学大学院理学系研究科
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上島 励
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
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Hao Luong
Scientific & International Co-operation Department, Cuc Phuong National Park
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山崎 一憲
東京大学大学院・理学系研究科
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Hao Luong
Scientific & International Co-operation Department Cuc Phuong National Park
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上島 励
東京大学大学院・理系
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矢後 勝也
The University Museum The University Of Tokyo
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矢後 勝也
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
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Hung Ha
Department Of Entomology Faculty Of Agronomy Hanoi Agricultural University
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