リカードウ課税論の理論圈(前原雅文教授退職記念号)
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概要
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リカードウ『原理』の「課税の問題に関する研究」部分(第8〜18章)は、ナポレオン戦争後のイギリス財政構造の大転換期に執筆された。本稿は、そこに確認できるリカードウのスミス租税論からの脱却の足跡を、(1)章別構成と"租税源泉論"との関連、(2)"租税転嫁論"と"資本移動論"、(3)"貨幣流出入論"と"金の国際的均衡配分論"、の3つの論点を通して検討したものである。すなわち、(1)では、リカードウはスミスと違って「収入」だけでなく「資本」をも租税源泉に算入していることが章別構成に反映していること、(2)では、租税をすべて商品価格に転嫁させるリカードウの議論は、農産品価格への不転嫁を説くスミス租税論における穀物輸入制限の前提を暴くものになっていること、(3)では、「租税の輸出」を説くかに見えるリカードウの貨幣流出入論は、流通必要貨幣量を規準としたスミス理論への批判を通して貨幣流出規制の問題性を主張するものであること、が展開された。
著者
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