リカードウ『原理』第19章の研究
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概要
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本稿は、リカードウ『原理』の「論争的諸章」部分の冒頭に位置する第19章「貿易路における突然の変化について」を検討したものである。戦時から平時にかけて投資構造の転換に伴う苦況が予想されるが、農業部面から製造業部面への資本移動は断固として推し進められるべきだ、とリカードウは主張する。その議論からは、次の三つの論点が剔出できる。すなわち、【戦時の投資構造→穀物価格の低下→資本移動→平時の投資構造】という一連のプロセスにおいて、(1)資本移動が「一般的利潤」の割り込みを回避しようとする資本家の個別的な利潤動機を原理としていること、(2)「穀物価格が投資構造に及ぼす作用」と「資本移動が投資構造に及ぼす作用」は区別されるべきで、リカードウは両者を中間的な投資構造の設定によって関連づけたこと、(3)リカードウは、穀物価格の低下による地代・賃金・利潤の分割関係の変更という「価値関係」の位相を提出したこと、である。
- 尾道大学の論文
- 2004-12-31
著者
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