リカードウのスミス「奨励金論」批判
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概要
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本稿は、スミスの穀物輸出奨励金論(『国富論』第四篇第5章)に対するリカードウの批判(『原理』第22章)を、両論要約の上、四点摘出したものである。すなわち、(1)奨励金による穀価上昇は穀物生産を奨励しないとしたスミスに対する、穀物資本移動による穀物生産増大の主張、(2)奨励金は製造業部面のみに有利で農業部面には不利に作用するととらえたスミスに対する、奨励金の商品価格への全面的な価格転嫁論の対置、(3)奨励金による穀価上昇が賃金上昇を通して全商品価格の上昇に連動していくというスミスの"穀価波及説"の批判、(4)奨励金による穀価上昇と銀価値下落の同等視をスミスのように一国に限定する必要がないという指摘、である。総じてリカードウには、奨励金による穀価上昇の名目性や資本移動を介しての資本蓄積構造の変動への注目が確認できるが、それは奨励金論が重商主義批判の文脈上にあったスミスとの、課題設定上の相違を反映するものと言えるだろう。
著者
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