リカードウの生産奨励金論について
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概要
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本稿は、リカードウの「生産奨励金論」(『経済学および課税の原理』第23章)を考察したものである。(二)で要約をおこない、(三)では、叙述中に確認される多くの「仮定」を中心にして、同章が提出している理論問題を三点摘出した。すなわち、(1)生産奨励金と租税徴収とのバランス論によって、「政府」と「消費者」の固有の意味が明らかにされ、また諸収入(地代・賃金・利潤)間の階層性が照射されていること、(2)需要不変という限定的な仮定を採ることによって「需給構造」「資本移動」「価格変動」についての理論的凝集状態がもたらされたが、そのことが逆に価格論展開への端緒を与えていること、(3)外国貿易捨象の仮定によって、スミスの"穀価波及説"批判のための適切な推論形式が確保されたこと、である。第23章は、第22章(「輸出奨励金論」)とともに、一国に及ぼす奨励金の弊害を説くものであるが、このわずか7つのパラグラフから成る短い章の理論的意義は大きいと言える。
- 尾道大学の論文
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