オノマトペの意味縮小 : 「わくわく」を例に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「わくわく」を取り上げ、類義関係にあるオノマトペと、プラス・マイナスという意味の評価性の二点からオノマトペの意味縮小について考察した。「わくわく」は、現代語においては①期待・喜びなどのプラスの感情、②将来の出来事に対する感情という意味特特徴を持つが、明治・大正期には①プラス・マイナス・中立的な感情、②過去から現在、将来にいたる出来事全般に抱く感情という、現代広い意味領域を持っていた。現代語のように意味が縮小された背景には、①類義語「どきどき」との関連により意味を限定したこと、②マイナスの感情を表すオノマトペが多いことによりプラス方向へ意味が傾いていったこと、③身体的意味を「わなわな」に譲り「わなわな」とは異なるプラスの方向の精神的意味に限定したことが、考えられる。I examined how meanings of onomatopoeia have reduced. An actual case of word "wakuwaku" has been analyzed its synonyms and emotional meanings. Today, "wakuwaku" means positive emotion for future happenings, but in the Meiji and Taisyo period it meant more widely and used for the expression of various kinds of felling when ones felt unsettled not only for future things but also for past things. There were following three main factors on reduction of the meanings in "wakuwaku". 1 ) "Wakuwaku" limited its meaning due to a synonym of "dokidoki". 2 ) "Wakuwaku"'s tended to mean a positive emotion, because many other onomatopoeias exist for negative emotion. 3 ) "Wakuwaku" limited its usage for emotion, as contrasted with "wanawana" which limited to physical meaning.
著者
関連論文
- 大蔵流狂言台本における擬音語・擬態語の特徴 : 虎明本と山本東本との比較から
- 徳田秋声作品に見るオノマトペ : 『足迹』『黴』を中心に
- 近世演劇のオノマトペ : 浄瑠璃と歌舞伎の脚本を対象に
- 尾崎紅葉の言文一致文 : 「多情多恨」を中心に
- 教科書教材に見るオノマトペ : 特徴の整理とそれを踏まえた読解指導との関連を目指して
- 擬音語・擬態語の名称変遷について
- 笑いを描写するオノマトペの変遷 : 中古から近代にかけて
- オノマトペに見る漢語の影響 : 和語系オノマトペと漢語系オノマトペの関わり
- 静寂・沈黙を表すオノマトペ : 和語系・漢語系オノマトペの関わりから
- オノマトペの意味縮小 : 「わくわく」を例に
- 「泣く」「涙」を描写するオノマトペの変遷 : 中古から近代にかけて
- オノマトペの多義性と意味変化 : 近世・近代の「まじまじ」を例に
- 明治後期の和語系・漢語系オノマトペ
- 明治前期の和語系・漢語系オノマトペについて : 『浮雲』を中心に
- 狂言台本山本東本に見るオノマトペ : 浄瑠璃・歌舞伎脚本との比較とともに
- 延慶本 『平家物語』 に見られるオノマトペ
- 平家物語の擬音語・擬態語 : 延慶本,覚一本,百二十句本の比較から
- 明治期の即時的表現の分類と使用状況 : 江戸期との比較を通して