大正・昭和前期における扇風機の発達 : 扇風機のデザインにおける歴史的研究(2)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
明治時代に先進国からもたらされた扇風機は,大正時代には欧米の企業との技術提携が進み,我が国主要企業による大量生産が開始された。米国では天井扇に加えフロア扇の需要も多かったが,我が国では相変わらず卓上扇の独壇場であった。関東大震災により,直接裸火を使用しない電気製品の安全性が注目されるようになり,震災の復興期に数多く建てられた和洋折衷の文化住宅では,電化が大きなテーマとなった。企業間競争の激化による価格の下落と,新中間層の急増や大正デモクラシーの影響から女性の社会進出も果たされるようになると,大衆の購買力が向上し.家電ブームが起こった。人々のあこがれの対象であった扇風機は,その牽引役を果たした。扇風機の基本的形態の四要素,「黒色,四枚羽根,密なガード,首振機能」は踏襲されたが,エトラ扇の発明により,三枚羽根のものも加わった。この時代には,ガードが独立してデザインされるようになり,他社との差別化やモデルチェンジを明示する役割を担った。
- 日本デザイン学会の論文
- 2008-07-31
著者
関連論文
- 家具調テレビ「嵯峨」のデザイン創出過程 : 家具調テレビに関する研究(2)
- テレビ受像機の普及期における「嵯峨」の誕生とシリーズ展開 : 家具調テレビに関する研究(1)
- 昭和中期(戦後)における扇風機の発達 : 扇風機のデザインにおける歴史的研究(3)
- 大正・昭和前期における扇風機の発達 : 扇風機のデザインにおける歴史的研究(2)
- 明治・大正初期における扇風機の発達 : 扇風機のデザインにおける歴史的研究(1)
- 木製家具業におけるサステイナブルデザインとその課題(木のものたち)
- D19 国産第1号家庭用電気洗濯機「ソーラー (Solar)」に関する研究-2(デザイン史, 平成17年度日本デザイン学会第52回研究発表大会)
- E14 昭和後期における扇風機の発達 : パナソニックエコシステムズに見るデザイン開発事例研究(デザイン史,「想像」する「創造」〜人間とデザインの新しい関係〜,第56回春季研究発表大会)
- 昭和後期における扇風機の発達 : 「松下精工」に見る製品開発事例研究
- 昭和後期における扇風機の発達(2) : 三菱電機に見るデザイン開発事例研究
- 授産施設における生産活動の現状と課題に関する調査研究(川崎医療福祉学会第31回研究集会)
- 知的財産権の経済的価値評価
- 川崎医療福祉学会誌掲載論文の分析
- 日本におけるテレビジョン受像機のデザイン変遷(2) : 白黒テレビジョン受像機の成熟期からカラーテレビジョン受像機の普及期まで
- 日本におけるテレビジョン受像機のデザイン変遷(1) : 草創期から普及期まで
- 我が国における扇風機の機能、形態及び色彩の変遷 : 戦前、戦後の新聞・雑誌・特許公報類を資料として
- 我が国における扇風機用ガードの形態の変遷について : 戦前、戦後の新聞・雑誌・特許公報類を資料として
- 今和次郎賞を受賞して(2008年度 今和次郎賞)
- 病院における利用者本位の環境改善に向けたデザイン教育の実践