土壌保全からみたヒノキ人工林の下層植生の動態と植生管理への応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
林分密度管理をヒノキ人工林における土壌保全目的での下層植生管理に応用するために,高知県下のヒノキ人工林に28の調査プロットを設け,下層植生に対する強度間伐の影響と,通常の管理下での下層植生の動態を調べた。強度間伐試験地では設定後2〜3年間の収量比数(R_y)の推移と2〜3年後の植被率を調べた。通常施業試験地では設定時を0年次として,0,5,10〜13年次のR_yと植被率を調べた。その際,調査プロットの海抜高(温量指数)に基づいて三つの温度域(ウラジロ・コシダ域,カシ域,落葉樹域)を区別し,植被率を6段階評価した被度指数を土壌侵食抑制効果と光要求度の異なる六つの生活型(ウラジロ・コシダ,陽性草本,林床草本・地表植物,常緑木本,落葉木本,ササ)のおのおのについて別個に求めた。強度間伐が被度指数に及ぼす影響は生活型によって異なった。また,同じ生活型でも温度域によって異なる反応を示すものがあった。通常施業試験地では調査期間を前期(0→5年次)と後期(5→10〜13年次)に分け,期間ごとに求めた各生活型の被度指数の期間変化量(dC)とR_yの期間累積偏差(ΣdR_y×100)との関係を調べた。両者の関係には生活型間での差や,温度域間での差が認められた。また,生活型別の被度指数の合計値が40未満の林分(貧植生型林分)と40以上の林分を区別すると, dCとΣdR_y×100との関係が両杯分間で異なっていた。以上の結果に基づいて,生活型,温度域,貧植生型林分か否か,を区別してR_y-植被率関係のデータを集積することにより,下層植生管理を目的とした密度管理モデルの実用性が高められることを指摘した。
- 日本森林学会の論文
- 2006-08-01
著者
-
渡辺 直史
高知県立森林技術センター
-
梶原 規弘
高知県森林局
-
塚本 次郎
高知大学農学部附属暖地フィールドサイエンス教育研究センター
-
深田 英久
高知県立森林技術センター
-
梶原 則弘
高知県林業試験場
-
塚本 次郎
高知大学農学部
-
深田 英久
高知県森林技術センター
関連論文
- ヒノキ人工林の林床植生型としての「ウラジロ・コシダ型」の立地特性
- 高知大学演習林 : 嶺北フィールド(森めぐり2)
- 四国地方のヒノキ人工林における間伐後6年間の林床植生変化
- 土佐褐毛牛と電気牧柵による下刈りの省力化とニホンジカ被害の軽減効果
- 全国大学演習林における渓流水質
- 相対幹曲線に基づく岐阜県今須のスギ・ヒノキ択伐林の立木材積表,形数表および細り表
- 今須択伐林の直径分布モデル林分における林分材積成長量
- 樹冠の空間占有モデルを用いた択伐林の直径分布モデルの誘導
- 岐阜県今須のスギ・ヒノキ択伐林における樹冠の大きさと形態の樹高による変化
- 択伐林と皆伐林における幹材の完満度と年輪幅の差異
- 岐阜県今須択伐林の固定試験地における林分材積成長量
- 岐阜県今須のスギ・ヒノキ択伐林における陽樹冠表面積,単位陽樹冠表面積当りの幹材積成長量および幹材積成長量の樹高による変化
- 択伐林の基準的な直径階別本数分布についての一考察
- 樹冠の空間占有状態に基づく択伐林の直径分布モデル(II) : スギ・ヒノキ択伐林における樹冠の空間占有モデルの妥当性の確認
- 樹冠の空間占有状態に基づく択伐林の直径分布モデル(I) : スギ・ヒノキ択伐林における樹冠の空間占有状態のモデル化
- 岐阜県今須択伐林の樹冠占有状態と相対日射量
- 岐阜県今須伐林内のスギにおける陽樹冠長率と幹材積成長量の垂直的配分との関係
- 岐阜県今須択伐林の中・下層にあるスギの陽樹冠表面積に対する葉生重量の比
- 西南日本暖温帯における森林性小型鳥類,ヤイロチョウの餌としての表層性ミミズの環境選好性
- 択伐林における幹形変化の個体差
- ヒノキの雄花生産量に土壌条件と強度間伐が及ぼす影響
- ヒノキ強度間伐林分の残存木樹幹表面における樹脂流出と間伐強度および立地要因との関係
- 四国のヒノキ人工林において台風が落葉動態に及ぼす影響
- 大園享司氏の宮地賞受賞研究「冷温帯林における落葉の分解過程と菌類群集」に寄せて(コメント,宮地賞受賞者総説)
- 森をささえる土壌の世界, 有光一登著, 全国林業改良普及協会, 2006年3月31日発行, 185頁, 定価1,100円(税別), ISBN4-88138-167-9
- 林地斜面における表層物質の移動(II) : 礫の移動-細土の移動との比較を中心に
- 土壌保全からみたヒノキ人工林の下層植生の動態と植生管理への応用
- ヤナギ類3種のアーチ型さし木
- ヒノキ人工林の下層植生管理のための温度域区分 : 土壌保全を目的として
- 下層植生と地形に基づくヒノキ人工林の土壌浸食危険度区分
- ヒノキ人工林における下層植生のタイプと土壌侵食危険度との関係
- ヒノキ人工林における表土流亡危険度の予測 : 土壌侵食強度の簡易評価における地表面観察の有効性の検討
- シーボルトミミズのこと
- 依光良三編, (2003), 『破壊から再生ヘ アジアの森から』, 287pp., 日本経済評論社, 本体価格2,400円., ISBN4-8188-1567-5
- 21 四国地域のスギ・ヒノキ林における窒素と水資源の利用様式(関西支部講演会,日本土壌肥料学会 支部講演会講演要旨集 2005年度)
- P23-12 降水量の異なるスギとヒノキ林における材と葉の初期分解速度(ポスター紹介,23.地球環境,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- ヒノキ林における間伐が生態系の窒素動態に及ぼす影響(関西支部講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 23-32 降水量の異なるスギ・ヒノキ林における葉の重量減少と窒素放出(23.地球環境,2010年度北海道大会)
- 強度間伐が残存木の成長および材質等に与える影響
- 牛力等を利用した農林地の周年管理システム実証試験--土佐褐毛牛と電気牧柵による育林効果の検証
- 間伐施業と台風被害との関係に関する調査
- 巻き枯らし間伐木から発生する昆虫相および林内への影響調査
- 四国地方のヒノキ人工林における間伐が表層土壌の物理性に及ぼす影響
- 四万十川森林計画区におけるモデルフォレスト事業(持続可能な森林管理に向けて-日本型モデルフォレストの取り組み-)
- 今須択伐林の直径分布モデル林分における林分材積成長量
- 樹冠の空間占有モデルを用いた択伐林の直径分布モデルの誘導
- 択伐林の固定試験地における立木配置
- 択伐林における幹形変化の個体差
- 岐阜県今須のスギ・ヒノキ択伐林における樹冠の大きさと形態の樹高による変化
- 岐阜県今須択伐林の固定試験地における林分材積成長量
- 岐阜県今須のスギ・ヒノキ択伐林における陽樹冠表面積,単位陽樹冠表面積当りの幹材積成長量および幹材積成長量の樹高による変化
- スギ・ヒノキ択伐林における樹冠の形態と幹形
- 1-44 間伐がヒノキ葉の炭素、窒素安定同位体比に及ぼす影響(1.物質循環・動態)
- 枯死木、リター、土壌等の炭素蓄積量の把握(森林吸収源インベントリ情報整備事業)
- 四万十川森林計画区における持続可能な森林経営のための生物多様性のモニタリング
- 四国地域のヒノキ林における落葉の季節性と窒素利用の関係
- 間伐がヒノキ林の表層土壌水分に及ぼす影響
- 雨滴衝撃の推定値による表土流亡危険度判定手法の検討(I) : 雨滴衝撃推定モデルの検討(立地)
- 雨滴衝撃の推定値による表土流亡の危険度判定の試み(立地)
- 四万十川源流域における降水中の溶存成分の変動
- 間伐がヒノキ林の落葉量と季節性に及ぼす影響
- ヒノキ林における放置間伐材の分解にともなう重量減少と窒素動態
- 間伐がヒノキ林土壌の二酸化炭素放出およびメタン吸収に及ぼす影響
- 四国地域において森林土壌の炭素貯留量および養分動態に影響を及ぼす要因 : I. 井上・岩川・吉田(1973)のデータセットを用いた解析
- スギ植栽木の成長と下刈り対象木の競合状態との関係
- S1-27 窒素安定同位体比を用いた樹木の窒素吸収源の解明 : 四国地方のヒノキ、スギ林における事例(S1.土壌-植物系の窒素動態研究における安定同位体比の利用,1.物質循環・動態,2012年度鳥取大会)
- 森林生態系を重視した公共事業の導入手法謂査
- 土佐褐毛牛と電気牧柵による下刈りの省力化とニホンジカ被害の軽減効果
- 牛力等を利用した農林地の周年管理システム実証試験--土佐褐毛牛と電気牧柵による育林効果の検証
- 人工林の低コスト育林施業の体系化と環境保全機能への影響調査