関門港東口付近における船舶交通と漁船操業の特性
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概要
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関門港東口付近における船舶交通と,漁船操業の調査・解析結果を要約すると次のとおりである。(1)船舶交通流は中央水道ルートを主流とし,その日平均交通量は約750隻である。また北水道を経由して下関側長府地区へ入出する日平均40隻程度の分岐交通流がある。(2)主要ルート通航船の船型別構成比は,小型船(300GT未満)が68%,中型船(300〜3,000GT)が27%,大型船(3,000GT以上)が5%である。また,船種別比率では危険物積載のタンカーが17%,漁船が9%である。(3)昼間(06〜18時)の船舶交通量は,1日当たり船舶交通量の65%を占めている。また,07〜08時と15〜16時に船舶交通のラッシュがみられ,そのピーク時間交通量は平均時間交通量(30隻)の1.6倍である。(4)昼間における主要ルートの10分間当たり船舶交通量の生起確率は,平均値6.5のボアソン型で推定できる。(5)船舶の早鞆瀬戸通過時機に及ぼす潮流の影響は,小・中型船の場合わずかに順流利用の傾向がうかがえるが,その寄与率は9%程度であり,全般的には潮流の影響度は小さいといえる。(6)通航船の速力分布は,平均速力10.1ノット,標準偏差2.4ノットの正規型とみてよい。また,約10%の通航船が13ノット以上の高速で通航しており,最高速力は18ノットに達している。(7)関門航路入出航船の約90%が中央水道ルートを経由している。また,北水道ルートを経由する通航船の大部分が,長府地区へ入出する小型船で,大型船の北水道ルートの利用率は著しく低い。(8)ほぼ100GT以上の船舶で早鞆瀬戸-中央水道ルートを利用する東航船は,関門航路東端付近から中央水道の推薦航路の西側を通航し,夜間は昼間に比べて北九州側へ接航する傾向がある。また,西航船は太刀浦ふとう沖から早鞆瀬戸へ向けてshort cutする傾向がみられ,夜間は昼間に比べてこの傾向が顕著である。(9)この水域で操業する漁船漁業は,昼間操業の一本釣漁業・チヌ延縄漁業・イカかご漁業・タコつぼ漁業と,夜間操業のアナゴ延縄漁業が主なものである。(10)出漁漁船の時刻的操業特性は,典型的な昼間操業型で,操業漁船は09〜10時に最も多い(最多隻数36隻,平均隻数23隻)。また,ゴムボートにより一本釣をする遊漁形態が出現している。(11)漁場別操業密度は満珠島と干珠島の間で最も高く,中ノ州付近がこれに次いでいる。また,早鞆瀬戸から田野浦沖・太刀浦沖にかけての中央水道の航路筋付近でも操業の密度はかなり高い。
- 1984-03-15
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