中度知的障害児の固執的な集合数報告行動の改善 : 固執的報告行動改善のためのその行動自体の利用の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、集合数の報告に困難を示す中度知的障害児を対象として、その改善を試みた。対象児が示した困難性のひとつは、計数操作に関するものであり、その改善のために分化強化操作を用いた。いまひとつの困難性は、集合数報告自体であり、対象児は物品の数がいくつの場合にも固執的に「6個」と報告した。そしてその改善では、対象児の示す固執的行動自体を利用することを試みた。つまり、課題を対象児の「6個」が正反応になるようにして、さらに計数操作で得られた数を数字カードで提示することにより強調した。その結果、以前は刺激として何ら機能していなかった計数操作で得た数が、刺激として機能しはじめた。遅延プロンプトの適用が可能になったので、数字カードを遅延的に提示する方法を用い、対象児の集合数報告行動を改善した。これらの結果から、固執的な行動の改善のために、その行動自体を利用することの有効性が示された。
- 2003-07-30
著者
関連論文
- 「人工セルフモデリング」法による重度発達障害児の音声による要求言語の形成
- ビデオモデリングによる軽度発達障害児の要求充足行動の促進 : 正の強化刺激獲得可能性の観点から
- 状況に適した要求言語使用の改善および促進に関する研究--刺激等価性の観点から
- 精神遅滞2B 言語II(日本特殊教育学会第30回大会研究発表報告)
- 言語形成のための随伴モデル法の適用に関する研究 : 模倣から非模倣への移行の効果
- 強化子としての固執行動の利用に関する研究 : 行動連鎖の観点からの要求言語行動の形成と般化促進
- 状況に適した要求言語使用の改善および促進に関する研究 : 刺激等価性の観点から
- A Short Critique of "Single Case Experimental Designs" or a Proposal of Observational Analysis of Behavior
- P-9 時系列分析による早期乳児期母子相互交渉へのアプローチ
- 随伴モデル法を適用した話しことばの形成
- P-18 発達障害児の集合体形成行動の改善 : お手伝いスキルとしての使用(ポスター発表1)
- 要求言語の自発的使用促進に関する研究 : 選択要求言語の刺激統制の転移
- 精神遅滞3 指導法I(精神遅滞,日本特殊教育学会第29回大会研究発表報告)
- P2-10 知的障害児のコンピュータを利用した学習における強化の検討(ポスター発表2)
- 発達障害児の選択肢要求言語の形成
- 自閉症児への算数指導に関する研究-3-方程式解法方略の文章題への適用
- 重度精神遅滞児の言語理解の獲得 : 実用性の観点から
- 重度精神遅滞児の受容言語形成の媒体としての要求行動の効果
- 自閉症児への算数指導に関する研究-2-求答のための1元1次方程式の変換
- 自閉症児への算数指導に関する研究 : 方程式の解法の観点から
- 猫なき症候群幼児への随伴モデル法の適用
- 漢字の読みの獲得における絵刺激の利用に関する研究 : 漢字刺激と絵刺激の同時提示,継時提示の比較
- 中度知的障害児の固執的な集合数報告行動の改善 : 固執的報告行動改善のためのその行動自体の利用の効果
- PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)と診断された重度発達障害児の買い物の促進に関する研究
- 重度発達障害児の非言語的コミュニケーションの指導(2)推移性によるコミュニケータへの単語入力の促進
- C-15 知的障害児の選択肢要求言語の機能的使用についての検討(ポスター発表)
- P1-43 軽度発達障害児の授与動詞獲得に関する指導 : 「くれる」「あげる」課題場面について(ポスター発表I)
- P1-28 知的障害児の選択肢要求言語形成についての再検討(ポスター発表I)
- P2-25 知的障害児の選択肢要求言語の機能化 : 複数の選択肢の提示時間間隔のフェイドアウトを通して(ポスター発表II)