活性炭ディスクの加熱脱着を利用した環境ガスのガスクロマトグラフによる分析法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
作業環境中の有害ガスの個人モニターとしては活性炭ディスクに吸着させた環境ガスを二硫化炭素で抽出してガスクロマトグラフで定量する方法が提案されている.この方法は抽出液として二硫化炭素を用いるため,取扱い上および迅速性の面で問題があるので,われわれは,活性炭ディスクに吸着された成分を加熱脱着してガスクロマトグラフで直接的に定量する改良法を検討した結果,実用になりうることがわかったので報告する.トルエン蒸気を用いた実験では,まず加熱脱着による分析の可能性を試験するために200ppmのトルエン蒸気を用いて,特製パイレックスガラス容器(270ml)中,16時間活性炭ディスクと接触させてから,活性炭ディスクを細分し,各切片への吸着量を加熱脱着機能をもつガスクロマトグラフで定量した結果,活性炭ディスク中心部での値は,ほぼ満足すべきもので,この方法は改良法として用いうることがわかった.このため,試料蒸気と接触させた活性炭ディスクは16等分して,各切片に吸着された試料を分析することにし,20,40および80ppmのトルエン蒸気に,それぞれ1週間曝した活性炭ディスクを用いて実験した.この結果から,実験値の平均値(W)とトルエン濃度(C)の間には直線関係があり,C=1.14×W(mg)と表現できることがわかった.ここでガスクロマトグラフのレコーダーでプリントアウトされる面積をAとするとW(mg)=5.024×10^<-6>Aの関係となる.蒸気濃度と曝露時間の関係,および加熱脱着部の改良による活性炭ディスク試料の大型化はさらに検討する必要がある.3M Brand Organic Vapor Monitorを用いる場合は,対象ガスが活性炭に吸着でも,さらに,CS_2により変質せずに抽出できることが必要であるが,この条件に適合しない化合物として,CO,CH_4,C_2H_6,C_3H_8,CH_2-O-CH_2,CH_3OH,HCHO,CH_3Cl,H_2S,CH_3NH_2,(CH_3)_2-NH,(CH_3)_3N,RNCS,およびSO_2などがある.本改良法により,この点を改善できるか否かをしらべるためにメタノール蒸気を試験した,蒸気濃度を20,40および80ppmとして,トルエン蒸気の場合と同様に検討した結果,メタノール蒸気濃度に関係なく活性炭ディスクを16等分してからガスクロマトグラフで分析するまでの時間が短いほどよいことがわかった.これは,吸着されたメタノール蒸気が揮発しやすいことに原因すると考えられるので,測定までの時間がもっとも短い試料のデータをもとにして整理した結果,メタノール蒸気濃度(C)と実験値の平均値(W)の間には,C=1.19×W(mg)の関係があることがわかった.ここでAをトルエン蒸気の実験の場合と同様にとると,W(mg)=1.74×10^<-9>Aとなる.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
著者
-
吉川 正博
産業医科大学 産業保健学部
-
吉川 正博
産業医科大学医療技術短期大学
-
松井 正夫
長岡技術科学大学
-
高田 勗
北里大学医学部衛生学公衆衛生学教室
-
小西 淑人
北里ヘルス・サイエンス・センター
-
北松 康和
長岡技術科学大学
-
池浦 健能
長岡技術科学大学
-
五十嵐 秀雄
長岡技術科学大学
-
福士 卓郎
長岡技術科学大学
-
高田 勗
北里大学医学部衛生学公衆衛生学
関連論文
- 5.尿中代謝物の分布(分布区分1,2,3)(第22回有機溶済中毒研究会)
- 21.ドライクリーニング衣類からの溶剤放散(一般演題,平成3年度九州地方会)
- リニアック電子線パルスの線量測定
- カドミウム長期経口投与による肝微細構造変化に対する亜鉛の影響
- タバコ、アルコール関連代謝酸素の遺伝子多型と口腔癌
- 65.高齢者の就労可能性を決定している要因分析
- 28.イソプロピルアルコール、トルエン吸入曝露ラットにおける有機溶剤の体内動態
- 1,3.ジクロロ-2-プロパノール誘発急性肝障害ラットにおける播種性血管内凝固症候群
- 3G09 1-ヒドロキシピレンによる室内暖房時のPAH曝露評価
- 尿路上皮癌リスクとグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)MI、T1、P1、N-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)遺伝子型と喫煙との関連性について