妊婦の口腔衛生における妊婦健診データ,生活習慣ならびに唾液中酸化ストレス産物の意義

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本研究は,妊婦の虫歯や歯周病に関連する症状と,妊婦健診データ,生活因子,ならびに唾液中の酸化ストレス産物との関係を明らかにすることを目的とした。妊婦健診で外来を受診した妊娠27〜31週の妊婦195例を対象として,口腔の症状や生活習慣に関するアンケート調査と唾液中の酸化ストレス産物(8-OHdG)の測定を行った。妊婦の22%が「虫歯がある」と回答し,50%の妊婦に口臭,口腔の乾燥感,易出血,歯茎の脹れや歯のぐらぐら感といった歯周病に関連する何らかの症状が認められた。虫歯と歯周病に関連する症状をそれぞれ重症度に応じてスコアリングしたところ,それらは妊婦の体重と正の相関がみられた(p<0.01およびp<0.05)。歯周病関連症状スコアは,「日常の軽い運動を心がけている」「睡眠時間は規則正しい」との回答と負の相関,「下痢ぎみ」との回答と正の相関があった。唾液中8-OHdG濃度が高値の妊婦に「口の中が乾燥していると感じる」との回答が多く認められた(p<0.05)。多くの妊婦に口腔の健康問題が存在しており,妊婦健診では口腔疾患へのさらなる関心に加え,体重のコントロールや日常生活についての情報も聴取し,有効な保健指導を実践していく必要がある。また,妊娠に伴う口腔内乾燥は,口腔内の酸化ストレスの上昇に関与する可能性が認められる。
日本母性衛生学会の論文

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