GHQ占領下におけるわが国の看護教育の成立過程 : 東京看護教育模範学院の成立と展開(第8回聖路加看護学会学術大会)
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概要
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本稿は,連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)による占領統治下において,戦後日本の看護教育システムがどのような経緯で成立し展開したのかを,Tokyo Demonstration School of Nursing(東京看護教育模範学院)の成立過程に焦点をあてて,GHQ/SCAP Recordsを中心に分析し,明らかにすることを目的とした。今日の看護教育制度の根拠となった"Nursing Education Council(看護教育審議会)"の審議内容から検討し,東京看護教育模範学院設立に至るGHQ側の意図や会議録,活動内容の詳細,設立後の学校運営の経緯を明らかにした。GHQ/公衆衛生福祉局(PHW)は看護教育の再編に向けて,その諮問機関としてCouncil on Medical Education(医学教育審議会)の発足に続き,1946年3月25日に看護教育審議会を発足させた。その会議の初期段階に,戦後日本の新たな看護教育を展開するためのモデルスクールを東京に設立する事を決定した。そして,聖路加女子専門学校と日本赤十字女子専門学校を合併させた東京看護教育模範学院が1946年6月1日に開校した。東京看護教育模範学院での教育は看護教育審議会の検討過程で決定した,戦後日本の新たな看護教育カリキュラムのもとに行われた。GHQ/PHWは東京看護教育模範学院の看護教員に対して,看護とは何か,看護の機能について等の指導を徹底した。良い看護は良い看護婦によってのみ行うことができると強調し,高度な看護には,優れた知性と豊富な知識と技術,感受性と想像性が必要であると指導した。そして,Professional Nurseとしての任務と責任を学ぶためには,最低3年間の看護基礎教育を必要とするとの方針のもとにカリキュラムが構築されていた。東京看護教育模範学院は戦後日本のモデルスクールとして,体系化された看護教育カリキュラムの実践を示し,さらに日本独自の看護教育を展開する看護指導者の育成に尽力したことは,今日に継続する大きな功績である。
- 2003-06-23
著者
-
奥宮 暁子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
-
奥宮 暁子
大阪大学大学院
-
石川 ふみよ
東京都立保健科学大学
-
平尾 真智子
東京慈恵会医科大学医学部看護科
-
佐藤 公美子
山梨大学大学院医学工学総合教育部・博士課程
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坪井 良子
山梨医科大学医学部看護学科
-
坪井 良子
山梨大学大学院医学工学総合研究部
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坪井 良子
山梨大学医学部看護学科
-
平尾 真智子
東京慈恵会医科大学医学部看護学科
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佐藤 公美子/坪井
山梨医科大学医学部看護学科/山梨医科大学医学部看護学科
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