数種在来イネ科野草の生態特性と乾物生産 : I.ミヤコザサ群落の生育環
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ミャコザサ群落の永続的な放牧利用と効率的な抑圧除去の適期を明らかにするための研究の一環として,浅間山南麓のミヤコザサ群落を対象に,年間の生育経過を器官別乾物重,稈数,葉面積,生産構造,冬芽などの月別変化から調査し,次の結果を得た。(1)地上部現存量は春から夏に急増し,8月未に最大となったのち翌春まで漸減する傾向を示した。一方,地下部現存量はこれとは対照的に春から夏にかけて急減し,夏から初冬にかけて回復する推移を示した。その結果,T/R比は夏に最大値を示し,冬に最小値を示した。また全現存量は年間を通じてほぼ一定値を維持した。(2)LAIも地上部現存量とほぼ同様の季節変化を示し,当年生稈に着生する葉数と密接な相関々係を示した。(3)地上稈の寿命は地上に稈が発生してから平均18〜20ヶ月であることが示された。(4)生産構造は季節的に異なる変化を示したが,群落吸光係数には大きな差異はなく0.742〜0.778の範囲であった。また群落地表面における相対光度は冬から春までの期間は10〜20%であり,生育シーズン中は1〜5%であった。(5)地下茎各節の冬芽の数は4月未から5月未までの間に大部分が地上に発生するので,夏の期間は極度に少なくなるが,9月から10月に再び急増し,その後はほぼ一定数を維持した。これに対して,新地下茎数は6月から8月に急増する傾向を示した。以上から,ミヤコザサ群落の永続的な放牧利用を図るための適期は晩秋から翌春までの期間であり,群落抑圧のための効率的な適期は夏であると推定される。
- 日本草地学会の論文
- 1979-07-31
著者
関連論文
- シバ草地に関する研究 : IV.伐採跡におけるミヤコザサ群落の攪乱がシバの発芽・定着に及ぼす影響
- シバ草地に関する研究 : III.シバの発芽・定着・生存に及ぼす土壌硬度,土壌改良資材および肥料の影響
- シバ型草地に関する研究 : II.シバ幼植物の生長に及ぼす温度の影響
- シバ型草地に関する研究 : I.牛糞中のシバ種子数とその発芽特性
- 暖地における水稲品種の物質生産特性について
- 暖地における水稲品種の物質生産に関する研究 : 第4報 本邦暖地品種と韓国新品種の子実生産特性の比較
- 暖地における水稲品種の物質生産に関する研究 : 第3報 本邦暖地品種と韓国新品種の乾物生産特性の比較
- 暖地における水稲品種の物質生産に関する研究 : 第2報 明治期以降の新旧品種の子実生産特性
- 暖地における水稲品種の物質生産に関する研究 : 第1報 明治期以降の新旧品種の乾物生産特性
- 暖地における水稲品種の子実生産特性について
- 40 暖地における明治以降の水稲品種の物質生産に関する研究 : とくに,韓国水稲新品種と比較した子実生産特性について
- 39 韓国水稲新品種の収量および乾物生産特性について
- シバ草地とオ-チャ-ドグラス草地の乾物生産特性
- 牧草の乾物生産 : 第10報 土壌水分条件を異にしたオーチャードグラス草地の乾物生産量の推定
- グリーン芝の生育に対するパーライトの効果に関する研究
- 牧草の夏がれに関する生理生態学的研究 : I. 気温および土壌水分がラジノー・クローバー, アルファルファーの成育ならびに耐早的性質に及ぼす影響
- 飼料作物の生育に関する研究 : 第5報 ラジノ・クローバーにおける刈取, 再生のくり返しと温度との関係
- 飼料作物の生育に関する研究 : 第4報 ラジノ・クローバーにおける器官形成と温度との関係, とくに非同化器官をめぐつて
- 飼料作物の生育に関する研究 : 第3報 ラジノ・クローバーにおける器官形成と温度との関係, とくに同化器官をめぐつて
- 飼料作物の生育に関する研究 : 第1報 ラジノ・クローバーの乾物生産と葉の生産とに及ぼす高温の影響
- 数種在来イネ科野草の生態特性と乾物生産 : I.ミヤコザサ群落の生育環
- 低温によるラジノクローバのほふく茎数の減少が収量に及ぼす影響
- 低温によるラジノクローバーのほふく茎数の減少の実態とそれが収量に及ぼす影響 (第143回講演会)
- 牧草の乾物生産 : 第3報 牧草の乾物生産と最適刈取回数におよぼす吸光係数の影響
- 数種在来イネ科野草の生態特性と乾物生産 : III.ミヤコザサの冬芽ならびに新地下茎の形成に及ぼす日長の影響
- 数種在来イネ科野草の生態特性と乾物生産 : II.刈取りの時期および回数がミヤコザサ群落の乾物生産に及ぼす影響
- 牧草の乾物生産 : 第14報 気象生産力からみたオーチャードグラス草地の地域生産特性
- 牧草の乾物生産 : 第13報 立地を異にするオーチャードグラス草地の気象生産力の推定
- 牧草の乾物生産 : 第12報 わが国各地域のオーチャードグラスの季節生産性におよぼす気温と日射量の影響
- 牧草の乾物生産 : 第11報 オーチャードグラスの乾物生産におよぼす気温と日射量の影響
- 牧草の乾物生産 : 第9報 刈取回数と施肥量が牧草の乾物生産におよぼす影響
- 牧草の乾物生産 : 第8報 個体密度が牧草群落の乾物生産におよぼす影響
- 牧草の乾物生産 : 第7報 乾物生産量の推定式(乾物生産式)の適合性および活用方法の検討
- 牧草の乾物生産 : 第6報 草地における群落光合成測定手段としての同化箱法の検討
- 牧草の乾物生産 : 第5報 乾物生産量の推定式(乾物生産式)について
- 牧草の乾物生産 : 第4報 牧草の乾物生産におよぼす吸光係数の影響-理論的解析-
- 47.ウニモグトラクタによる傾斜地の不耕起草地造成(草地造成・管理・放牧,第19回発表会講演要旨)
- 牧草の乾物生産 : 第2報 群落光合成式による牧草群落の光合成量,乾物生産量の推定
- 牧草の乾物生産 : 第1報 光合成連続測定による牧草群落の乾物生産量の計算値と実測値との比較
- 51 オーチャードグラスの光合成の温度反応におよぼす生育温度の影響
- 1.ミヤコザサ群落の生態に関する研究 : 第5報ミヤコザサの刈取時期と草地化との関係(草類の生理・生態・栽培,第20回発表会講演要旨)
- 46.山地傾斜地における草地の管理・利用および造成技術の組立に関する研究(第2報)(草地造成・管理・放牧,第19回発表会講演要旨)
- 16.ミヤコザサ群落の生態に関する研究 : 第4報ミヤコザサの光合成と呼吸(草類の生理・生態,第19回発表会講演要旨)
- 11.数種野草の生態と乾物生産 : 第1報牧草地におけるワラビの生態(草類の生理・生態,第19回発表会講演要旨)
- 15. 高冷地帯における牧草と野草の生態および乾物生産に関する研究 : 第4報 牧草群落の乾物生産解析
- 14. 高冷地帯における牧草と野草の生態および乾物生産に関する研究 : 第3報 牧草群落の乾物生産解析手法の検討
- 中部山岳地帯(山地傾斜地,草地学・地帯別にみた研究の動向と問題点)
- 山地傾斜地 中部山岳地帯 (わが国における草地研究の展望(総説集)(日本草地学会15周年記念特集)) -- (草地学・地帯別にみた研究の動向と問題点)
- 54.山地傾斜草地の利用管理および造成技術の組立に関する研究(草地造成・管理,第17回発表会講演要旨)
- 10.ミヤコザサ(Sasa nipponica M. et S.)の生態に関する研究 : 第3報地上芽および地下莖芽数におよぼす刈取と日長処理の影響(草類の生理・生態,第17回発表会講演要旨)
- 8.牧草とヨモギ(Artemisia vulgaris L. var. indica Maxim)の競争関係におよぼす刈取ならびに施肥の影響(草類の生理・生態,第17回発表会講演要旨)
- 高冷地帯における牧草類および野草類の生態的特性 : 第1報 刈取収量からみた季節推移, 施肥反応, 刈取反応の比較 (第145回講演会)
- 数種主要牧草の初期生育におよぼす光強度の影響 (第145回講演会)
- 34.傾斜草地造成条件下における牧草と野草の競合について(草番の造成・管理,日本草地学会第9回大会講演要旨)