牧草の乾物生産 : 第11報オーチャードグラスの乾物生産におよぼす気温と日射量の影響

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異なる気温条件下,日射量条件下におけるオーチャードグラスの乾物生産特性を検討した。種々の気温条件下,日射量条件下における乾物生産量,CGRは,第7報で検討した乾物生産式(8)とCGR式(9)を用いて,群落の光合成量と呼吸量のCO_2収支の面から計算した。異なる気温条件下,日射量条件下における(8)式,(9)式の係数値は,ポット実験により得られた測定値を基礎にして決定した。1)ポット実験の結果から,葉面積生産速度,個葉の光合成能力および植物体の呼吸速度は,気温に影響されるところが大きいことがわかった。葉面積生産速度は,気温20℃で最大値が示された。また,個葉の光合成能力は,平均気温が15℃以下になると低下する傾向を示した。呼吸速度は,高温になると高くなり,温度係数,Q=1.65であった。2)気温が群落の乾物生産におよぼす影響は,刈取後の経過時間と関連し複雑であった。本実験の場合,オーチャードグラスの群落の乾物生産効率は,16℃前後で最も高い値を示した。また,この生産適温(16℃)は,日射量条件が変化してもほとんど影響されず,各日射量条件下でほぼ一定であった。3)日射量は,供給エネルギー量との関連で群落光合成量に強く影響した。また,乾物生産量,乾物生産効率は,日射量の増加にともない増加する傾向を示したが,これらの増加率は,低日射量条件下ほど高く,高日射量条件下では低くなり頭打ちの状態を示した。4)刈取後,CGR_<max>が示されるまでの日数は,気温18℃〜20℃において最も短く,また,この日数は,日射量が増加するほど短くなる傾向を示した。
日本草地学会の論文
1973-10-25

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