大学生の高齢者扶養意識の現状と今後の課題に関する研究 : 日中比較調査

概要

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1)本研究は、社会制度の違う日本と中国の大学生の高齢者扶養意識を比較し、その相違点と今後の課題を明らかにすることを目的とした。日中の大学生を対象としたアンケートを実施した。日本と中国の調査対象者はそれぞれ592人(有効回答率:93.2.5%)、1039人(有効回答率:98.0%)であった。本分析の結果、以下のことが明らかになった。第一は、社会背景と社会保障制度の違いのため、日本の学生より中国の学生の方が高齢者に対するインフォーマルな扶養意識は強く、その扶養の内容の相違点も明かとなった。第二は、「一人っ子政策」と人口高齢化の進行の影響で、当初の予測に反して中国の学生の高齢者問題に関する意識は日本の学生とほぼ同様であった。今後、高齢化率の進展と家族のシステムが変化していく中で、中国の文化的伝統であった敬老思想とそれに基づく老親扶養意識と行動の変化にどう対処するのか、これからの大きな課題であろう。また、20歳台の大学生に限定せず、50歳台まで(介護者も含む)の男女を対象とし、国別性別の高齢者の扶養意識について年齢コホート別に検討していく必要があると考える。
東海大学の論文