軽度認知症高齢者への音楽療法の効果検討 : 日常生活への心理的社会的機能改善について

概要

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老人保健施設入居者の軽度認知症を伴う高齢者60歳〜95歳(n=82.7)の男女9名へ(1)認知機能と社会的機能、(2)日常生活の行動改善、(3)音楽療法実施中と実施後の効果に差があるかどうかを検討することを目的に週に1回・1時間、計8回のグループ音楽療法を構造化したプログラムを用い、曲に変化を持たせて実施した。評価測定として音楽療法実施日の5日前と終了日の5日後にPre-test、Post-testとして、(1)MMSE、(2)ベントン視覚記銘検査、(3)反応時間(Reaction Time: RT)、(4)セッション終了直後に簡易行動評価表(チェックリスト)を用い、毎回行動評価をした。更に(5)毎回、音楽療法の終了直後から当日の就寝時までの行動評価を実施(高齢者用行動評価表を使用)し、その評価結果を検討した。音楽療法実施前後の参加者の行動変化を確認するために、各評定結果について統計的に検討(対応のあるt検定、x^2検定)を行った結果、(5)の4項目に有意差(p<.05)が、また3項目に傾向差(p<.10)が認められた。また、(1)の1つの下位項目に、傾向差(p<0.10)が認められた。(2)、(3)については有意差が見られなかった。本研究の結果を踏まえ、軽度認知症者に対する週一回・8回連続の音楽療法の介入の意義について考察した。