正規孵化し損ねた胎仔および斃死雛,弱雛における糜瀾性気嚢炎について

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鶏病文献を繙いて驚くことは,病理組織学研究が空疎をきわめていることである。気嚢関係においても御多分にもれない。CRD研究に際し,いくら先を急ぐからといって,気嚢病変に関する正確な知識なしになにが実ろうと言うのか。著者らは,この見地にたって研究の歩を進めてきた。今回は,Mycoplasmaの介卵性に因み未破殻および破殻胎仔などの気嚢および肺を組織学的に精査した。これら正規孵化し損ねた胎仔などにおいては,当然予想されることではあろうが全身性発育不全がきわめて高率に指摘された。組織病変としては脊髄形成不全をはじめ,腎細尿管上皮壊死,筋変性,腺胃巣壊死,肝巣壊死の他,痛風その他がわれらの注目をひいた。これら諸病変は組織の下形成hypoplasiaないし臓器組織における血行,ならびに機能障碍に基づく変性壊死病変に属する。問題の気嚢および肺においては,著者らがすでに報じてきた糜爛性気嚢炎系病変がいとも鮮やかに証明されたのである。この種病変はまがいもなく炎性のものに属し,しかも非化膿性の特異なものである。病巣は微弱性のものと・中強度性のものに区分けされる。興味深いことに,前者は対照健雛においても非正常例と比肩する程の頻度で確認されている。そしてさらに,後者は破殻および未破殻例において高率に証明されたのである。感染論の上で,Host Parasite Relationという考えがあるが,ここに述べた事実はこの考えにとって深い意義を持っているものと考える。そしてこのことは,糜爛性気嚢炎系病変とMycoplasmaとの因果関係を密接なものとするとわれらは確信するのである。
帯広畜産大学の論文
1969-01-30

正規孵化し損ねた胎仔および斃死雛,弱雛における糜瀾性気嚢炎について

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