多水分小麦の乾燥特性について
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概要
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小麦収穫時期における連続降雨のため,特に含水率の多い穀粒の乾燥特性について検討を行なった。実験条件は,熱風温度54℃および64.5℃,風速0.5m/sで,初期含水率は57〜59%D. B.(36〜38%W.B)である。1.小麦層高3cmのものについては,熱風温度の影響が大きく,温度64.5℃の場合,含水率を15%まで下げるのに約60分で足りるのに対し,温度54℃のときは120分,すなわち,約2倍の時間を必要とした(第2図)。2.層高3cmを5段に重ね,15cmにした場合は,第3図に示すごとく乾燥初期において,上層部において吸湿の現象が見られた。すなわちある一定の熱風条件について層高の限界があり,乾燥効率を高めるためには,この限界以下で作業することが必要である。3.穀物温度および含水率との観測値から,各層出口の熱風温度の近似値を計算した結果,約3時間後には含水率の平均値は15%以下となり,穀温,風温とも均一に近くなって来ることが認められる(第5,第6図)。4.上記の実験結果から,多水分小麦の乾燥効率を高めるためには,a)乾燥初期(含水率25%程度までの間)は出来るだけ高温の熱風を送り,その後低い温度で乾燥する。b)層の厚さを10cm以下とし温度の均一化をはかり,含水率のムラを出来るだけ少なくする。以上の2点に留意して連続式乾燥機の計画を行なうことが必要と考える。
- 帯広畜産大学の論文
- 1967-03-31
著者
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