根治的前立腺全摘術を行ったPSA 20ng/ml以上の前立腺癌症例の検討
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概要
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(目的)PSA 20ng/ml以上で臨床的に転移を認めない前立腺癌症例の臨床的・組織学的な特徴,予後について検討し,前立腺全摘術による治療が意義あるものか検討した.(対象と方法)根治的前立腺全損術を施行した前立腺癌症例のうちPSA 20ng/ml以上であった21症例について,術前臨床所見と全摘標本の病理学的所見を検討した.(結果)術前PSA値は21〜65ng/ml,中央値27ng/mlであった.主腫瘍が70%以上存在する部位で近縁領域(PZ)癌と移行領域(TZ)癌に分類しそれぞれ10例ずつであった.PZ癌群では組織学的リンパ節転移が2例,精嚢浸潤が8例,被膜外浸潤が全例,外科的切除縁陽性が7例であった.TZ癌群ではリンパ節転移,精嚢浸潤は1例もなく,被膜外浸潤が5例,外科的切除縁陽性が6例であった.術前検査ではPZ癌群は全例直腸診. TRUS陽性であったが,TZ癌群では直腸診およびTRUS所見は乏しかった.年齢,PSA値,癌体積,グリソンスコアには差はなかった.PSA再発はPZ癌群では9涯TZ癌群では2例であった.(結語)PSA 20ng/ml以上の症例ではPZ癌であれば手術療法のみでの根治は難しいと考えられたが,TZ癌であれば比較的良好な成績が得られた.直腸診・TRUS所見が乏しければTZ癌を積極的に疑うことが重要であり,また根治的前立腺全摘術も根治的治療の一つであると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2007-07-20
著者
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有働 和馬
佐賀大学医学部泌尿器科学教室
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有働 和馬
独立行政法人国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究部
-
大坪 智志
独立行政法人国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究部
-
坂本 直孝
独立行政法人国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究部
-
井口 厚司
独立行政法人国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究部
-
井口 厚司
国立病院機構九州医療センター泌尿器科
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井口 厚司
国立病院機構九州医療センター 泌尿器科・臨床研究センター
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井口 厚司
国立病院九州医療センター 臨床検査部
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井口 厚司
国立病院九州医療センター 臨床検査科
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井口 厚司
国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究センター
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坂本 直孝
国立病院機構九州医療センター泌尿器科・臨床研究センター
-
井口 厚司
九州医療セ 泌尿器科 臨床研究セ
-
大坪 智志
九州厚生年金病院泌尿器科
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坂本 直孝
独立行政法人国立病院機構九州医療センター泌尿器科
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