電子式関節可動域計測装置の要介護度評価への応用

概要

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高齢社会を迎え歯科医師も介護の現場に往診に出かけ,要介護者に接する機会が増えている。この中にあって,口腔ケアや口腔機能向上の必要性が社会に認知され,口腔環境の改善による全身機能改善も期待されているが,運動機能や感覚機能を客観的に評価する手法が確立されていない。本研究は小型・軽量の関節可動域計測装置で寝たきり者の上腕部の運動を計測し,要介護度と比較することで運動能力を評価する方法を検討した。研究にはHHC で担当する要介護者のうち,本人または家族の同意が得られた24 名(平均年齢80.2 ± 6.9)の参加を得た。対照群として健常者5名を選別した。関節可動域の計測には加速度センサーを応用した計測システムを使用した。手に加速度センサーを握らせて固定し,屈曲・伸展および回転運動を行わせ関節可動域を計測した。要介護者にも部分的な介助から全面的な介助が必要な者まで,さまざまである。そこでいずれの介護度にも対応でき課題運動を検討した結果,手根の運動が適切であるとの結論を得た。記録が完全な左手根の屈曲・伸展角の平均は要支援者(4名)で116.1 度,要介護度1(4名)で68.7 度,要介護度2(3名)で72.3 度,要介護度3(3名)で74.6 度,要介護度4(5名)で60.3 度,要介護度5(2名)で34.4 度であり,介護度と平均可動域に相関係数0.579(p= 0.007)で負の相関が得られた。一方,手根の回転運動を記録し,屈曲・伸展相当の角度を算出した結果,限界運動の66.5%と有意に小さな値であり,かつ要介護度との間に有意な相関係は見いだせなかった(0.327, p=0.152)。

電子式関節可動域計測装置の要介護度評価への応用

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