足浴が排尿に与える影響に関する基礎的検証
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
背景 足浴は入浴することができない患者のための重要な看護ケアの一つである。足浴の効果は多くの研究者によって調査、実証されており、睡眠パターン、自律神経機能、精神神経免疫機能への効果が報告されている。これらの結果から、足浴はその副交感神経系への効果により、リラクゼーション、睡眠、循環を促進する可能性があることが示唆されている。看護師はしばしば排尿困難のある患者に、水の音や流水、手浴などのケアを用いているが、それらのケアはエビデンスに基づいておらず、また広くリサーチも行われていない。また、足浴が排尿を促す効果の有無についても未検証である。足浴は副交感神経を優位にし、心地よさを提供し、また循環を改善する効果が期待され、その効果が排尿困難を改善することが予測される。目的 本研究は、足浴ケアが排尿に与える影響を明らかにし、その効果を今後の介入研究の一助とすることを目的とした。方法 研究協力の得られた健康な成人11名(男性3名、女性8名)を対象とし、41℃の湯を用いて20分間密封式足浴法を施行し、自律神経の活動、尿量、バイタルサインの変動、主観的反応を評価した。結果 足浴中後60分間において、11名中5名に顕著な尿量の増加がみられ、この5名の交感神経活動(LF/HF)は増加した。一方、他の参加者においては緩やかな尿量の増加が見られ、またHFで示される副交感神経活動量が増加していった。また、全ての参加者が足浴に心地よさを感じ、足浴の温度刺激が指尖温度を改善することも明らかとなった。結論 足浴に対する反応には2つのタイプがあることが、この研究から示唆された。足浴による温熱・湯という刺激によって、気持ちよさや指尖部温の上昇をみるが、交感神経を優位にし尿量の顕著な増加をみるタイプと、そのような効果は認めないが、副交感神経への効果により、心地よさ、リラクゼーションを感じ、短時間での急激な尿の増加をみないという二つのタイプがある可能性が示唆された。
- 滋賀県立大学の論文
- 2006-03-31
著者
関連論文
- 看護者の腰痛予防のためのボディメカニクス自己学習支援システムの開発 : ボディメカニクス活用動作の自己チェックシステムの試作と評価
- 『未来看護塾』の活動および「人と関わる体験」が看護学生へもたらす効果
- 1E2-4 看護者のためのボディメカニクス学習支援システムの試作 : 第2報 動作画像表示および音による警告機能(福祉機器・システムの構築,一般講演)
- ME313 看護者のためのボディメカニクス学習支援システムの試作(ME31 バイオメカニクス1,あたり前のことを知る)
- 1054 自立型移乗介助ロボットの研究 : 第4報:複合動作の検討(J06-4 ライフサポート(4),J06 ライフサポート)
- 下肢の支持性が低下した人に対する移乗動作の身体的・心理的負担の評価
- 2A2-31 自立支援型移乗介助ロボットの研究 : 第2報:移乗介助ロボットによる立ち上がり動作終了姿勢の評価(講演,福祉ロボットII)
- 1124 自立支援型移乗介助ロボットの研究 : 第1報:基本構想と機構について(J05-3 ライフサポート(3)(機器・ロボット),J05 ライフサポート)
- 下肢の支持性が低下した人に対する移乗サポートロボットを用いての立ち上がり動作の検証
- J1102-3-1 自立型移乗介助ロボットの研究 : 第6報 被介助者による姿勢操作機能について(ライフサポート3:移乗支援・歩行支援)
- 大学と地域が連携した臨床看護研究のサポート育成に対する試み : 臨床看護研究サポートのスキルアップ研修の評価
- オープンキャンパスにおける模擬演習の試み : 基礎看護領域の実践(活動と資料)
- 東洋式リンパマッサージを取り入れた看護技術開発に関する研究 : 実験プロトコールにおける測定ツールの評価(活動と資料)
- 看護師のクリニカル・ラダーに対する認識 : 第一報
- オーストラリアにおける倫理委員会の役割と活動(活動と資料)
- 看護記録の開示に対する看護者の意識調査
- オーストラリア アデレードの緩和ケアの実際と緩和ケアチームの活動
- 足浴が排尿に与える影響に関する基礎的検証
- 片麻痺模擬患者への車椅子移乗援助に関する研究 : 患者の安全・安楽・自立および看護者の腰痛予防を考慮して
- 生活行動援助技術を「想像し、創造する力」を引き出す教育の工夫 第4報 : 「入浴」の援助の授業展開から
- 生活行動援助技術を「想像し、創造する力」を引き出す教育の工夫 第3報 : 「動くこと」の援助の授業展開から
- 生活行動援助技術を「想像し、創造する力」を引き出す教育の工夫 第2報 : グループワークに対する学生の反応から
- 生活行動援助技術を「想像し、創造する力」を引き出す教育の工夫 第1報 : 全体構成とその展開
- 看護学生に対するグループワークにおけるマルチメディア導入の試み : DVカメラの使用方法と映像編集方法の説明会を行って(活動と資料)
- 人間看護学部がめざす地域との連携と貢献 : 平成15年度の活動を通して
- 1P1-L02 視覚センサと立体マーカーを用いた移乗介助ロボットの誘導について
- 2P2-F11 自立支援型移乗介助ロボットの研究 : 第5報移動機能の検討(医療・福祉ロボティクス・メカトロニクス)