妊娠中の骨密度低下に及ぼすカルシウム/たんぱく質摂取比の効果

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妊娠中の骨密度低下に及ぼす栄養摂取の影響を検討するために,健康な妊婦35人を対象に妊娠28週まで(第1期)と29週以降(第2期)のそれぞれについて,各食品群の摂取目標に対する達成頻度法と秤量法により食事状況を調査した。第1期および第2期における各食事状況と超音波法により測定された妊娠中の骨密度変化,および血液・尿中骨代謝指標との相互関係を分析した。その結果,(1)肉・魚の摂取目標達成頻度が高い群では低い群に較べて骨密度低下率が有意に高かった。また,乳・乳製品の目標達成頻度が肉・魚の目標達成頻度より低い群では,高いまたは両者が同じ群に較べて骨密度低下率が有意に高かった。(2)骨密度変化率を従属変数とした重回帰分析でカルシウム(以後Ca)摂取量は正,たんぱく質摂取量は負にいずれも有意に関連した。また,第1期および第2期のCa/たんぱく質摂取比(以後Ca/Pro比)はいずれも骨密度変化率と有意の正相関を示した。(3)たんぱく質摂取量は血清Ca,尿中Hydroxyproline/Creatinineおよび尿中Ca/Creatinineと,Ca/Pro比は血清Bone Alkaline Phosphataseとそれぞれ有意の正相関を示した。以上の結果は妊娠中にはCa/Pro比が高いほど骨密度低下が抑制されることを示唆する。妊娠中の骨密度保持にはたんぱく質摂取量に応じたCa摂取量の増大が効果的である。
日本母性衛生学会の論文

妊娠中の骨密度低下に及ぼすカルシウム/たんぱく質摂取比の効果

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