強迫症状と衝動行為を示す自閉症患者に対するフルボキサミンの効果
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概要
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患者は30歳の男性,1歳前後より発語が数語見られたが,1歳半頃から次第に語彙が減少し,終にしゃべらなくなり,カナーの言う小児自閉症の症状を示すようになった。さらに,不穏,多動で落ち着かず,また強迫行動や衝動行動(頭突きなど)のため,数ヶ所の施設に入所したが,施設では対応できないとの理由で短期間で退所を促され,施設を転々と移動していた。その間,短期間精神科病院にも入院している。われわれの施設に入所後9年間,抗精神病薬を用いず患者の不適応行為に対して行動療法を行い一応の改善が見られた。しかし頭突きなどの衝動行為,電気器具に対する強迫行為は依然として改善されず,生活支援者の指導にも限界が見られた。そこで,フルボキサミン50mの投与を開始したところ,衝動行為および強迫行為は有意に減少し,また生活支援者の負担も軽減した。これらの自閉症患者に対しては,教育と治療(薬物療法)の両者が必要と考えられた。
著者
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