黒毛和種牛における手根関節のX線写真による軟骨病変の生体調査

概要

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黒毛和種牛における, 関節軟骨潰瘍性病変の発生経過を知る目的で, 成長過程牛の手根関節を対象として, X線学的調査を行い, 以下の結果が得られた.1.舎飼肥育群(A) : 山梨県下の2農家で7〜32ヵ月齢, 体重221〜643kg, 12例, 放牧群(B) : 7〜12ヵ月齢, 体重124〜210kg, 10例, 放牧後肥育群(C) : 11〜14ヵ月齢, 体重238〜271kg, 5例の3群について検討した.2.高解像X線撮影法により, 手根関節のX線像は正常(0), 軽度(I, II), 中等度(III)および重度(IV)の5段階に分類された.3.A群では, 第三中手骨と第二, 三手根骨の全例にX線学的病変がみられ, 前者は100%の発生率で, 67%が重度, 中等度25%, 軽度が8%であり, 後者よりも高率であった.4.B群では, 第三中手骨のX線学的病変は90%にみられたが, 全てIとII度であった.5.C群での発生率は, 80%であり, そのうちの20%は重度で60%は軽度であった.6.関節の外側面(第四中手骨, 第四手根骨)には, 病変は認められなかった.7.A群では, 7ヵ月齢でも重度なX線学的変化がみられたが, B群では10-12ヵ月齢でも, まだ明瞭な変化は存在しなかった.
鹿児島大学の論文
1989-03-15