黒毛和種牛の関節軟骨潰瘍性病変と蹄形異常

概要

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黒毛和種牛における関節軟骨潰瘍性病変の発生要因の一つとして, 蹄形異常との関連を明らかにする目的で, 本病変が最も多発していた第三中手骨について, 各蹄形異常の程度と主要病変である潰瘍の発生との関連を検討し, 以下の結果が得られた.1.検索材料としては, 山梨県食肉衛生検査所の材料から軟骨潰瘍性病変が認められた122例の手根中手関節と, 同数の蹄を用いた.2.検索した第三中手骨の全例において, 関節軟骨潰瘍性病変が認められた.蹄形異常は92.6%にみられ, そのうちの56.5%が重度で, 36.1%は軽度であった.正常蹄形は, わずか7.4%であった.3.異常蹄形は過長蹄と変形蹄に分けられ, 前者の発生率は63.9%であり, 延蹄(32.0%), 上靴蹄(29.5%), 長嘴蹄(2.4%)がみられた.変形蹄の発生率は28.7%であり, 不同蹄(11.5%), 平蹄(9.8%), 鋏状蹄(2.5%)の順であった.4.関節軟骨病変が認められた過長蹄では, 過長の重度のものが31.2%, 軽度のものが32.7%とほぼ同数であった.一方, 変形蹄では, いずれの変形蹄においても, 軽度のものが82.9%と多かった.
鹿児島大学の論文
1989-03-15