トカラ馬の解剖学的観察 : 特にアラブとの比較において
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概要
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トカラ馬の解剖学的観察をアラブとの比較において行い, 次の所見を得た.I 筋学的観察 トカラ馬とアラプの主要な筋の重量は, Table 2のようである.M.cutaneusは厚く重く, M.masseterはよく発達する.M.trapezius, M.rhomboideus, M.latissimus dorsi及びM.glutaeusの諸筋は発育が悪い.一般的にトカラ馬の後躯は前躯に比して発育が悪いのであるが, 前躯を形成する主要な胸肢筋の全重量がアラブの46.35%, 後躯を形成する主要な骨盤肢筋の全重量がアラプの42.96%であるから, アラプを標準としたとき, トカラ馬の後躯が前躯に比して貧弱であることを示す.II 内臓学的観察 1.盲腸, 結腸は体の矮小さに比して巨大であり, 盲腸と腹側結腸が腹腔右側に偏するのは木曽馬に類似する.これらの点は品種的特徴かどうか判らないにしても, 粗飼料に堪える頑健性と緊密な関係を有するものと考える.又トカラ馬大腸の縦紐はアラブに比して極めてよく発達し, 大腸のリンパ節は大且つ密にある.2.耳下腺, 顎下腺のような唾液腺, 肝, 脳は体重に比して重く, 肺, 心臓, 膵, 脾, 腎, 下垂体又び甲状腺は軽い.3.諸臓器は形態上肉眼的に, アラブ, サラブレッドと著しい差異は認められないが, 大脳回転にやや変異が見られる.肺の重量はアラブの23%に過ぎないが, 各葉への気管分枝の状態はアラプと異らない.
- 鹿児島大学の論文
- 1956-11-30
著者
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