地質地盤インフォメーションシステム : 埼玉県におけるデータベースの紹介と応用研究の例

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我が国における地質地盤情報データベースは,1950年代後半から刊行され始めた地域別の「地盤図」(2005年までに80以上の地域で既刊)を基礎としており,現在ではそのほとんどが地理情報システムをベースとした地質地盤インフォメーションシステムとして発展している.本稿では,日本およびアジアにおける代表的な地質地盤情報システムとその特徴について簡単に整理した.特に日本の地方自治体における地盤情報のデータベースの具体例として,埼玉県環境科学国際センターが開発した地質地盤インフォメーションシステムについてその基本機能を紹介した.本システムは約11,000本(2005年現在)のボーリングデータが保有しており,20万分の1〜2500分の1の縮尺の地図および埼玉県発行の表層地質図をベースマップとしている.また,地盤情報のデータベース機能とともに,平均N値や工学的基盤の深度分布図の作成機能,さらには液状化危険度の解析機能なども備えている.地質地盤情報に関する一次情報としてボーリングデータを一括管理することで,広領域の地質地盤の解釈やS波速度の推計など目的に応じて加工して,高次元情報を生み出すこが可能である.そのような研究例として,産業技術総合研究所などと共同実施している都市地質プロジェクトを挙げ,埼玉県草加市付近の沖積層基底礫層と海進期に形成された砂州の分布,さらには東京低地も含めたスケールでの沖積層のシーケンス層序解釈を紹介した.また,ボーリングデータを基礎に地震工学的解析を施し防災利用への実用化に成功している東京ガスの超高密度リアルタイム地震防災システムについても紹介した.最後に,現状における地質地盤インフォメーションシステムの問題点を整理し,今後の発展に必要な資料作成および研究開発の方向性について考察した.
日本地形学連合の論文
2006-07-25

地質地盤インフォメーションシステム : 埼玉県におけるデータベースの紹介と応用研究の例

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