ブタの生殖周期における雌生殖器官への好中球遊走と肥満細胞の関連性の検討 : 雌豚の発情周期における副生殖器の組織学的変化に伴う肥満細胞の動態に関する研究(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

概要

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雌豚では,発情期に外陰部の腫脹や充血などの特徴的な変化が見られる。この変化はEstrogenの生理的作用である。このとき生殖器官組織の経時的変化も認められ,その変化に関係する生理的に多様な機能を有する肥満細胞(TB陽性細胞)分布の動態に注目をした。17-βestradiol(E_2略)を用いて発情期の状態を再現し,その時の生殖器に見られる組織学的変化と肥満細胞の関連性を検討した。供試動物は,生後月齢のランドーレス,大ヨークシャー雑種の雌に。E_2投与した後,1・2・4・6・8・10日目に各々卵巣,子宮角,子宮頚管,膣部,外陰部とその周囲の皮膚を採取した。生殖器官の組織学的変化と肥満細胞の分布について観察し,検査はHE法とTB(異調性染色)法を用て組織中の肥満細胞を算定した。結果は,副生殖器官と外陰部周囲の皮膚部における組織変化が,E2投与で粘膜及び表皮細胞の増殖,粘膜固有層の拡張と水腫,好中球・リンパ球の浸潤等が2日目から4日目に顕著に認められた。卵巣は,4日目から6日目に卵胞の発育が見られた。採材した器官すべてに組織中に4日目から6日目に肥満細胞の分布が増加した。更に,特徴的に卵巣髄質,外陰部と,その周囲皮膚の真皮層に肥満細胞は多数認められた。これらの事から未成熟雌豚にE_2投与すると生殖器組織が経時的変化し,特に粘膜組織の増殖と水腫性,血管拡張性ならびに白血球浸潤変化が著明に認められた。この変化と合致するように肥満細胞の増数的変化が見られた。以上のことから肥満細胞の変化は,E_2と極めて密接な関係性があることが示唆された。
麻布大学の論文

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