動物介在活動における活動形態の違いと慣れがイヌのストレス強度に及ぼす影響(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

概要

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動物介在療法AATや動物介在活動AAAに参加するイヌには,何らかのストレスが負荷されていることが知られていることから,本研究では,AAAにおける活動形態の違いおよび活動経験に伴う慣れと,イヌのストレスとの関係について調査することを目的としたが,初年度はまず1つの施設において,慣れについて検討した。都内の特別養護老人ホームで活動するボランティア団体を調査対象とし,1年間にわたり毎月1回の活動時におけるイヌの行動と,活動前後の尿中カテコールアミン濃度を測定した。供試犬は,別の施設において2年以上の活動経験がある2頭と,初めて参加する8頭とした。その結果,AおよびNAの活動前後の濃度差は,活動回数を重ねるごとに直線的に有意に減少し,介在活動に参加するイヌは,活動への参加初期には少なからずストレスを感じていることがうかがわれた。また,活動への参加初期では,NA濃度差は,経験の無いイヌのほうが高かったのに対して,A濃度差には違いは認められなかったことから,活動経験を重ねたイヌでも,新奇な環境での活動初期には,活動経験の無いイヌと同程度に上昇したと考えられた。しかし,活動回数を重ねるにつれて,経験の有るイヌのみ直線的に有意に減少したことから,過去の経験により,新奇刺激に村して慣れが早く生じたものと考えられる。さらに,NA濃度差は,活動初期において,経験の無いイヌよりも経験の有るイヌのほうが低い値となったことから,過去の活動経験により,ヒトとの触れ合いという活動の固定的要因に対しては既に慣れが生じたと考えられる。経験別の行動・姿勢制御時間による影響についてみると,経験の無いイヌでのみ,A・NA濃度差ともに,行動・姿勢制御時間が長いほうが短いときよりも有意に大きくなった。以上のことから,介在活動に参加するイヌのストレスは,ヒトとの直接的な触れ合いというよりは,高齢者施設などの新奇刺激のほうが大きく影響しており,ハンドラーによる日常と異なる場面での行動・姿勢の制御も大きく関わってきているものと思われた。
麻布大学の論文

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