魚食性動物の人工餌料の開発とその経済的効果(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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イルカを飼育するうえで用いる飼料は,栄養学的な面から,より多くの種類を使用することが望ましいが,水族館などのイルカ飼育施設では,コストや入荷の不安定性から単一餌種を与えている傾向がみられる。本研究では,現在廃棄処分されている魚の非可食部の栄養成分を分析し,吉濱(2002年)の成績と比較することで,イルカ用人工餌料の原材料としての再利用について検討した。供試飼料には,北海道を除く日本各地の湖沼やため池において,その生態系を破壊していると言われる外来魚(ブルーギル:Lepomis macrochirus)と,東京都中央区築地にある中央卸売市場築地市場において廃棄処分されているマグロ,キスの頭,アナゴの内臓を用いた。その結果,エネルギー量についてブルーギルとキスの頭はそれぞれ比較的低い値であったため,これらを原材料として用いる場合は,エネルギー量の高い他の原材料と合わせる必要がある。よって原材料の栄養成分を明確にしたうえで,個体の年齢や状態等から一日に必要なエネルギー量を求められるように,各個体に応じた飼料について今後の研究が望まれる。また,現在廃棄処分されている魚介類の非可食部について,その種類と廃棄方法を都道府県別に電話で調査した結果,47都道府県のうち11都道府県で廃棄物は有効利用されておらず,人工飼料として再利用する可能性があると示唆された。しかし廃棄処分されているものの多くは,傷みの激しいものや腐敗進行の速い内臓であったため,可食部との分別後,速やかに冷凍保存するなどの対応が必要であり,地方自治体等との連携が不可欠である。
著者
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坂田 亮一
麻布大学大学院獣医学研究科
-
太田 光明
麻布大学大学院獣医学研究科
-
太田 光明
麻布大学 獣医学部
-
大木 茂
麻布大学大学院獣医学研究科動物応用科学専攻
-
太田 光萌
麻布大学大学院獣医学研究科動物応用科学専攻
-
太田 光明
麻布大学獣医学部
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