魚食性動物の人工餌料の開発とその経済的効果 : 海洋深層水を用いた新たな保存法について(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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動物介在療法(アニマルセラピー)のなかで,イルカセラピーはとりわけ関心が高い。現在,イルカは水族館を始め多数の施設で飼育されているが,日本の施設で15歳を超えて生存しているイルカは極めて稀であり,野生下での寿命が40年以上と言われる現実から考えると極めて短命である。このことは,わが国の動物園,水族館のほとんどが赤字経営を余儀なくされ,設備経費の中で大きな割合を占めている餌料のコスト,および入荷の不安定性から一括購入された単一試料を与える傾向が強く,栄養的に十分な対応がなされていないことと関連している。どの動物も最大限の配慮をもって飼育管理されるべきであり,餌料の重要性は言をまたない。本研究は,安価にして,輸送および保存が容易な栄養学的にもバランスの良い『人工飼料』の開発を目的としている。本年(平成14年)度の研究では,安全性,保存性,衛生的取り扱いに関し,防腐剤を用いずに少なくとも2週間(5℃環境下)保存できる方法を検討した。その結果,海洋深層水の殺菌作用・菌発育抑制効果について,1)水素イオン濃度の違いによる効果の差が顕著にみられ,最も酸度の高いpH2.05では作用後10分で菌は死滅し,0まで滅少した。2)pH4.72の海洋深層水を用いた場合,作用後24時間以内に菌は死滅し,0まで滅少した。3)pH5.38及びpH10.57の海洋深層水では効果の即効性はなかったものの,徐々に菌数が滅少していくことが確認され,24時間後には約50個程度まで滅少した。これらのことにより,水素イオン濃度を調節した海洋深層水は明らかな殺菌作用および菌発育抑制効果を待つことが示唆され,人工飼料の保存に有効な手段になることがわかった。
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