自閉児の発達段階の移行(その3) : 段階IIから段階IIIへ
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概要
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自閉発達障害をもつK児(男)の事例において,自閉障害の発達段階IIから段階IIIへの移行と,それに伴う社会的な相互交渉,コミュニケーション及び活動レパートリー(行動の偏りと固執を含む)の変化の関わりが検討された。資料として4歳0ヵ月から7歳10ヵ月の間に実施された6回の発達相談時の発達検査結果,観察記録及び母親からの報告が用いられた。K児は初回診断時に発達段階IIにあり,約4年後の7歳10ヵ月に発達段階IIIの初期に達し発達の層化現象は自閉発達障害に特徴的な伸展を示した。段階IIにおける長い停滞は下位課題の通過傾向の不安定さに起因し,進歩の主因は他者の言語とその場面を理解できることにあると推定された。対人関係の変化では,初期のクレーン現象は消え,視線回避も改善と悪化に揺れつつも,集団参加が可能になったが,対話の成立困難,他者の身体接触の回避,強い偏食傾向は変化がなく,パターン化した人物しか描画しなかった。これらのことが,身体知覚と身体イメージの障害との関連で考察された。
- 1999-03-30
著者
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