発達の質的転換過程の研究(6) : 精神発達遅滞児における発達の層化現象
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概要
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精神発達遅滞児の発達診断結果91ケースを資料として,発達の"達成度のずれ"が調べられた。発達診断は「可逆操作の高次化における階層-段階理論」に拠った。言語-認識レベル,手-指レベル,躯幹-四肢レベルを個別に診断し,3レベル間の発達段階の差異を発達"達成度のずれ"とし,そのうち,2つ以上の発達の質的転換期にまたがる差異を「発達の層化現象」とした。精神発達遅滞児の発達"達成度のずれ"は,2つの質的転換期にまたがる差異が最大であった。言語-認識レベルの発達段階を基準とした時,「発達の層化現象」は,第3形成期,第3可逆操作期,第1形成期,および第1可逆操作期の階層間移行期に出現した。中でも,第3可逆操作期の出現率は67%と最も高かった。第2形成期,第2可逆操作期には「発達の層化現象」は出現しなかった。発達"達成度のずれ"無しの比率は,それとは逆に第2形成期,第2可逆操作期に最も高かった。この「発達の層化現象」の出現率は統計的に有意な差異であった。これら「発達の層化現象」の型は言語-認識レベルの発達水準が相対的に劣り,躯幹-四肢レベルが優れた水準にある型が最も多く,統計的に有意であった。"達成度のずれ"も同様の型が統計的に有意に多かった。
- 1987-03-30
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