自閉児の常同行動
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概要
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自閉児の常同行動を発達的に理解するために,精神発達遅滞をもつ自閉児60人を対象として,その発達段階I・II・IIIと生活年齢の年少・年長群の常同行動の出現率が調べられた。常同行動は常同動作と常同言語に区分され,前者は自己の体に関する動作と,物の部分に没頭する動作で成っている。さらに,同一性保持の項目とエコラリー等言語項目も付加され,それら項目相互の関連も検討された。発達段階の高次化にともない,自己の体に関する常同動作は変化しないが,物の部分に没頭する常同動作は減少し,エコラリーと常同言語は増加する。生活年齢との関連では,自己の体に関する常同動作と常同言語は年少年長に関わりなく出現する。物の部分に没頭する常同動作は年少群に多く年長群で有意に減少する。エコラリーの出現率は年長になるにともない,有意に増大する。常同動作と常同言語の関連はみられなかったが,エコラリーと常同言語・語彙3語以上・会話になりにくさには緩やかな関連が,語彙3語以上と会話になりにくさには強い関連がみられた。同一性保持の行動の一部は,発達段階と生活年齢が高くなるにともない増加することが示唆された。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1994-03-30
著者
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