自閉児の"発達の不能溝"
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概要
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自閉児と精神発達遅滞児各34名の発達検査下位項目間φ係数が比較検討された。言語と躯幹-四肢レベル下位項目間では両群は著しく異なる関連を示した。自閉児群では言語項目と関連を示さず,精神発達遅滞児群では「滑り台足から」等の1次元可逆操作相応項目と言語項目は強い環状関連を示し,「飛び降り」等とゆるやかな関連を示した。言語と手-指レベル下位項目間では,精神発達遅滞児群の示性数3可逆操作相応項目間に強い環状関連を,1次元可逆操作相応項目間に複線的関連を示した。自閉児群では一部強い関連とゆるやかな関連をまばらに示し,「積木の塔3個」と「語彙3語以上」が精神発達遅滞児群に比し特異な位置関係を示した。また,自閉児群では「はめ板円(回)」と「形の弁別I3/5」等に強い関連を示した。言語-認識レベルでは「バイバイ」が自閉児群では精神発達遅滞児群に比し特異な位置関係を示した。精神発達遅滞児群では示性数3可逆操作相応項目間に強い環状関連を示したが,自閉児群ではゆるやかな関連のみを示した。発達の経過と構造の共通性に一部差異の内包があり,これが自閉児の"発達の不能溝"と考えられた。
- 1992-03-30
著者
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