発達の質的転換過程の研究(8) : 自閉児の発達の層化現象
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概要
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自閉児98ケースの横断的発達診断資料を用いて,「発達の層化現象」が検討された。「発達の層化現象」は「S2」と「S1」に区分された。「S2」は発達の質的転換期3つ以上にまたがる発達"達成度のずれ"があるものであり,「S1」は発達の質的転換期2つ以上3つ未満にまたがるものである。「S2」は階層間移行期に重なって出現し,「S1」は全ての階層で出現するが,階層間移行期にその出現率が有意に高かった。「発達の層化現象」の型は,言語-認識レベル「劣弱群」が約9割を占めていた。言語-認識レベル内と手-指レベル内には発達"達成度のずれ"がみられたが,躯幹-四肢レベル内にはみられなかった。言語-認識レベル内の"達成度のずれ"の幅と「発達の層化現象」の幅の間に関連がみとめられた。発達診断における言語-認識レベルの最低水準は,第2形成期が最も多く,次が第1可逆操作期,そして第2可逆操作期が有意に多かった。この時期の諸課題の克服がことに困難であると考えられた。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1989-03-30
著者
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